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「じっくり考えて、自分が納得できたら思い切ってやれ」
自分の進むべき方向、決断すべき事柄で迷っているとき、似たような言葉で励まされたり、同じような表現で元気付けたりすることはないでしょうか。
情報を集め、精査する。
自分の将来を見据えて決断をする。
そして動き出す。
流れとしてはとても綺麗ですが、社会経験をこれから積み上げていく若者にとって、動き出すまでの決断プロセスが3つもあれば、悩み、迷い、立ち止まってしまうのは仕方のないことです。こちらは励ましているつもりでも、実は混乱させてしまう結果になることはしばしば起こります。
神奈川県にNPO法人子どもと生活文化協会があります。そこの和田会長は、悩みを抱える若者に対して、非常に興味深い言葉をかけています。
「思い切ってやれ」
こちらが抱えている悩みを打ち明けて、ただ「思い切ってやれ」と言われただけでは動き出せません。しかし、和田会長はその言葉の意味をしっかりと説明してくれます。
「何かを思い切ってやるためには、『思い』を『切る』ことが必要です。つまり、悩んだり、考えている間は行動に移すことはできない。どこかで考えることを止め(思いを切って)、とにかく“やってみる”ことが大事なんです」
私は、和田会長の言葉を聞いて、「もっと情報はありますよ」「じっくり考えましょう」「将来に関わることですから、先々のことも思い描いて」と相談者に伝えていたのは、時に相手を混乱させ、苦しめていた可能性があったことに気がつきました。
もちろん、初めから考えることを放棄して、思ったことに邁進することが素晴らしい、ということではありません。情報を獲得したり、それを整理したりすることは大切です。しかし、ネット世界にある情報、他者からのアドバイスは無限であり、何もかもを取り入れることは不可能です。
ひとは必ず迷います。将来に不安を抱えます。だから、他者に相談をしたり、経験者の話を聞いたりして、情報を集めます。ただ、どこかで踏ん切りをつけなければ、次への行動はできません。だからこそ、ある一定の段階まで考えを深めた若者は、和田会長の「思い切ってやる」という言葉に共感し、考えることを止め、一歩踏み出すのです。「思い」を「切る」ことはとても勇気のいることですが、決意を固めて踏み出した先には、案外、よいことや、学びがあるものです。
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工藤 啓
くどう けい
特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)

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