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「他者を評価する」ことは非常に難しいことです。相手の顔が見えている場合は、言いにくいことを伝えるために勇気を振り絞らなければなりません。嫌われる覚悟も必要です。逆に、インターネットの世界のように、匿名性が高い状況では、よくも悪くも“簡単に”他者への評価を伝えることができます。
私がいた大学では、毎期終了時に授業評価を匿名で行っていました。400人を超える大教室では、本音を評価表に反映させやすかったのですが、20人規模の少人数教室では、目の前の講師に対して評価を突きつける訳ですから、匿名であっても気を使ったものです。
中学校や高校で授業を行う場合も同様に、体育館で一学年まとめて講義し終わった後のアンケートには、「とてもためになった」「自分の将来をしっかり考えたい」というプラスの評価から、「つまらなかった」「眠かった」というマイナスの評価まで、各生徒が素直に感想を書いて提出してくれているように感じます。
せっかく貴重な時間をいただいて講義をするのですから、目標は参加してくれた学生全員が満足できることを目指します。高評価を貰ったときには、純粋に「やってよかったと」思いますが、低評価を表すコメントは、真摯に受け止めつつ、次回はその部分を修正できるように反省する訳です。
当然のことながら、300名の学生に対して何かをするよりも、20名や30名に対しての講義のほうが、一人ひとりとコミュニケーションを取る時間が長く、丁寧に対応できます。疑問に答えたり、リクエストに応じたりすることも可能です。人前で話をした経験のある方であれば分かるのではないでしょうか。
しかし、少し気になるのが、クラス単位での小規模講義のアンケートを読んでみると、匿名評価であるにも関わらず、マイナス評価がほとんど見当たらないのです。最初は、小規模だから講義がうまくいったのではないだろうかと思うこともあったのですが、そうではないことが分かってきました。学生が“大人社会”を読んでいる結果であった訳です。
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工藤 啓
くどう けい
特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)

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