ドリコムアイ.net…高校生の進路と教育を考えるWebマガジン
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50-1

2011-08-29UP

地域に若者の居場所はない
〜不審者と思われる日常〜


工藤 啓

54 つながりのきっかけ
54-1 〜その場で印象を残す〜
54-2 〜後からつながりを創る〜
53 同じ10代でも差異がある
53-1 〜将来のことは…何とかなります〜
53-2 〜社会をよくするために生きていきたい〜
52 非日常下の成長
52-1 〜漁船にて海上に出る〜
52-2 〜無人島に踏み出す〜
51 被災地貢献のカタチ
51-1 〜現地に行けない若者たち〜
51-2 〜東京から被災地を支援する〜

50 地域に若者の居場所はない
50-1 〜不審者と思われる日常〜
50-2 〜図書館を子ども・若者の居場所に〜
49 人前で話をするのが苦手
49-1 〜他者に迷惑をかけない〜
49-2 〜客観的な“できている”で変わる〜
48 セーフティーネットとしての高校
48-1 〜給食が唯一の栄養源〜
48-2 〜学力やキャリア支援だけではなく〜
47 地震のとき若者は
47-1 〜情報を届ける〜
47-2 〜情報を拡散する〜
46 再学プログラム
46-1 学び直し機会を創る(1)
46-2 学び直し機会を創る(2)

45 卒後生活への不安
45-1 〜故郷への愛情と東京への期待〜
45-2 〜未内定より不安なこと〜
44 学び直しの取り組み
44-1 〜学び直しのニーズ〜
44-2 〜学び直せる環境作り〜
43 未来を志す
43-1 〜目的ある進路決定〜
43-2 〜行動してから考える〜
42 自分と仕事の関係性
42-1 〜自分の仕事の捉え方〜
42-2 〜3つの「ワーク」〜
41 社会人になりたい
41-1 〜社会人と会社人〜
41-2 〜社会の一員になるには〜

40 自己肯定感の喪失
40-1 〜社会の役に立ちたい〜
40-2 〜自分は人から必要とされていない〜
39 若者はコミュニケーション力がないのか
39-1 若者はコミュニケーション力がないのか(1)
39-2 若者はコミュニケーション力がないのか(2)
38 大学生の就職不安
38-1 大学生の就職不安(1)
38-2 大学生の就職不安(2)
37 価値観は“ソーシャル”へ
37-1 価値観は“ソーシャル”へ(1)
37-2 価値観は“ソーシャル”へ(2)
36 仕事につながるナナメの関係
36-1 仕事につながるナナメの関係(1)
36-2 仕事につながるナナメの関係(2)

35 「働く」が難しい
35-1 「働く」が難しい(1)
35-2 「働く」が難しい(2)
34 就活スーツについて
34-1 就活スーツについて(1)
34-2 就活スーツについて(2)
33 地域の力で自己成長
33-1 地域の力で自己成長(1)
33-2 地域の力で自己成長(2)
32 中学4年生
32-1 中学4年生(1)
32-2 中学4年生(2)
31 若者の不安とひとのつながり
31-1 若者の不安とひとのつながり(1)
31-2 若者の不安とひとのつながり(2)



 6月末に第一子を授かり、2カ月の間、育休を取らせていただくことにしました。育休としては短いと感じられるかもしれませんが、起業してから約10年。仕事中心の生活を送ってきましたので、私にとってはとても長い時間です。

 最初の1カ月は、妻も子どもも外出を控えなければなりませんので、2匹の犬を連れて近所を散歩するのが私の日課です。自宅から少し離れた公園まで行き、少し休んで自宅に戻ります。

 月曜日から日曜日まで、雨の日以外は毎日散歩に出かけます。学生は学校に行き、社会人は職場で働く。そんな日常がある一方、地域には地域の日常があります。これまで私にとって非日常であった世界が日常に代わりました。そんな新しい日常生活を過ごすなかで気づいたのは、

「地域に若者の居場所はない」

 ということでした。もちろん、お金を払えばカフェで過ごすこともできますが、それはあくまでもお客さまであって、自分が無条件にいてもよい「場」というわけではありません。かと言って、平日昼間に公園でボーっとしていると、日常的にそこが居場所になっている方々から声をかけられます。そこで、「あぁ、僕はこの“場”には似つかわしくない存在なんだな」と感じたのです。

 ご主人とわが子を送り出した女性からは「ずっと不審者だと思っていました」と笑われました。ゲートボールの練習をされている年配の男性からは「仕事を探すことすらしないぷー太郎」と思われていました。そして、ホームレスの方々からは「新入りかい?」と心配していただきました。

 育休中であることを伝えれば理解していただけますが、なかなか昼間から若者が居心地よくいられる場所というのはないものだなと感じています。もし私が多感な10代だとしたら、もっと居心地の悪さを感じるでしょうし、地域の目のない時間帯や場所を選んで行動するでしょう。それくらい地域の日常にいない(だろう)存在にとって、地域内に居場所を見つけるのは至難の業なのです。


工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。

2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)