そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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つながりのきっかけ
~後からつながりを創る~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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前回は、講演会などでつながりたい方とであったとき、大切なのは勇気をもって印象を残すことだと書きました。そうはいっても、大勢の前で、最初に手を挙げて質問することはちょっと抵抗があるかもしれません。

だからといって、つながり作りをあきらめてしまうのはもったいないことです。後からであってもつながりを創ることができないわけではありません。高校や大学で講演をさせていただくと、真っ先に手を挙げて質問されるのは留学生や発言に躊躇しない学生です。特に私の場合はNPO関係の話も多いですので、既にNPOを立ち上げていたり、インターンシップでかかわっていたり、NPOに限らず学生団体を運営されていたりする方が積極的な印象があります。

一方、会場質問は躊躇するけれども、講演終了後の隙間時間に駆け寄って来て、話をしてくれる学生もいます。躊躇の理由は「恥ずかしい」というものだけではなく、複数質問があったり、かなり突っ込んだ内容なので時間がかかるので直接に、ということもあります。一見、講師はあわただしく帰りの準備をしているように見えますが、心の内では「どなたかご質問に来られるかもしれない」と思っています。ぜひ、終了後の時間にうまくつながりたいひとをつかまえてみてください。

いくら講師が待っているからと言っても、ずらっと並んでいる質問の列に入ったり、直接声をかけることが苦手な場合もあるでしょう。質問がうまくまとまらないままに質問をすることが失礼だと考えることもあるかもしれません。そんなときにもインターネットをうまく活用する若者もいます。

仮に名刺をもらえなくとも、Google、Yahoo Japan!、Bingなどの検索サイトで講師の名前を検索し、講師自身や所属する組織のWeb Site、Twitter、Facebookなどが見つける。特にソーシャルメディアを使っている方であれば、気軽に感想やご質問に答えてくれることも少なくありません。個人名を出すことが難しくとも、「本日のお話を伺ったものですが…」という一文を付け、失礼の無いように話しかけてみる。そういった若者とつながりを持って、その後、別途時間を取って話をする機会を得られることもあります。

会場質問、終了後の時間、そしてインターネットのそれぞれをうまく活用できればいいのですが、そうでなくともせっかくつながりたい方が見つかったのであれば、“使えるものは何でも使ってみよう”くらいの気持ちが重要です。なかなか一歩を踏み出せないからといって、チャンスを逃すのはもったいないことです。ぜひ、できることからチャレンジしてみてください。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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