そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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選挙に興味を持ってみよう
~意思表示としての投票~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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今年の7月4日から、参議院議員選挙が始まります。7月21日が投票日です。東京都民であれば、東京都議会議員選挙が6月23日(告示日6月14日)にあります。選挙権がある場合はもちろんですが、まだ選挙権がない年齢であっても、数年後、十数年後には一票投じる権利を持つようになります。

選挙の重要性についていまさら強調する必要はありませんが、そうはいっても私たちが自分の住む国や地域の未来に対して意思表示ができる機会として無関心でいることはできません。

「自分が投票したところで何も変わらない」と言うひとに出会うこともあります。私は、過去に選挙に行かなかったことはありませんが、何も変わらないのではないかと思ったことは正直あります。いまは投票時間の終了後、すぐに選挙結果が速報されます。以前、投票時間ギリギリに投票所へ飛び込み、10分後に自宅に戻るとテレビで「当選確定」のニュースがながれていました。僕が期待を投げかけた方でない候補者が断トツで当選していて、ちょっとがっかりしたこともあります。

学校には生徒会があり、各生徒が生徒会の代表や役員を選ぶべく一票を投じているのではないでしょうか。そのときのどうやって選んでいます(いました)か?

・仲の良い友人だから
・同じクラスだから
・演説内容(選挙公約)が素晴らしいから

など理由はいろいろあると思います。国政選挙となると、何やら小難しいことを言っているように聞こえるかもしれません。また、10代であれば高齢者の医療問題に取り組むといった発言は全然自分ごとのように感じないかもしれません。だからと言って、関係ないということはありません。私たちの投票によって選ばれた政治家は、公約を実現させるために活動します。自分と関係ないことばかり言うひとが当選すれば、自分の町は自分と関係のない町になってしまうかもしれません。国も同じです。

仮に自分が応援した候補者が落選しても、その候補者が自分のためになりそうなことを公約していた場合、落選者に集まったたくさんの一票は、当選した政治家に必ず影響を与えます。あなたの想いを無視して政治活動をすれば、次の選挙であなたの想いを託してもらうことはできないからです。

いま、選挙に行くひとは30%や40%と少ないです。投票者の多くは高齢者であり、若者ではありません。私たちが意思表示をしなければ、国や町は意思表示をしたひとたちの願いをかなえる方向に進みます。逆に言えば、選挙に行かない60%、70%のひとたちが投票すれば、この社会は別の方向に進むのです。

もし誰を選んでいいのかわからないのであれば、生徒会の選挙で一票を投じた理由と同じでもかまいません。とにかく選挙に行きましょう。選挙権がない年齢であれば、家族や知人などに、「自分は投票権がないので、自分のためにも選挙に行って」と声をかけましょう。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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