そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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4月1日が来る前に
~やるべきことはたくさんある~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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もう一ヶ月もすると2014年度が始まります。特に大きく生活が変わらないひともいると思いますが、就職や進学、異動や引越しなど、新しい生活環境への期待と不安でいっぱいのひともいるでしょう。

根拠なき期待、漠然とした不安が入り混じるなかで、4月1日を向かえる前に、ぜひ、それぞれの期待と不安がどういうものなのか、できるだけ具体的にしておくことをオススメします。これから1ヶ月くらいは新生活に向けてバタバタしてきます。卒業旅行などのイベントがあると、落ち着いて準備に費やせる時間はあるようでないものです。

特に自宅から離れ、一人暮らしを始めるときには、これまで家族がやっていたことがすべて自分にかかってきます。私の場合は、ガスや水道、電気をちゃんと使えるようにするだけで苦労しました。確かにネットなどで調べたらすぐなのですが、やってみると意外と面倒だったりします。また、家財道具もこれまでは必要なものを買い足していた状況から、ほとんどゼロの状態になりますので、「あれもない、これもない」とあわててしまうこともあります。

自分の部屋から必要なものを送ったと思っても、そこには自分のモノはあっても、生活に必要なものが入ってないかもしれません。特にキッチン関係は、自宅に当たり前のようにあったものがそもそも何だったか一回で思い出すのは難しく、買いに行くのが面倒になり、しばらくは外食やコンビニで済ませたままになってしまうこともあります。

住民票を移動しておくことも案外忘れやすいものです。20歳を超えている場合、これまで住んでいたところに住民票を残しておくと、新しいエリアで選挙があったときに投票することができません。他の区市町村に引っ越す場合は転入届けを出した日から3ヶ月経たないと「選挙人名簿」に登録されません。すると自分の住む町のことに関与できなくなってしまいます。これまであまり意識しなくても普通に生活ができていたのに、これからの生活のためにはやるべきことがたくさんあります。まず何をしなければならないかを確認し、できることから着実にやっつけてしまいましょう。

当然のようにやるべきことを知っている方は、どんどん助言をしていきたいところです。当たり前だと思っていることでも、普段の暮らしのなかで学ぶ機会はあまりないことですので、環境ががらっと変わるときに無用なトラブルに陥らないよう、周囲の積極的なサポートは大変ありがたいものです。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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