そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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学校の機能を利用しよう
~キャリアガイダンスの使い方~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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いま、年間で100校くらいの高校とかかわりを持っています。ロングホームルームや家庭科の時間などをいただいてセミナーを開いたり、定期的に高校内で生徒の進路や生活の相談を受けたりしています。

私が高校生であった20年前、いまのように学校関係者ではないひとたちが教室や体育館でセミナーやガイダンスをすることはほとんどありませんでした。就職にせよ、進学にせよ、進路が多様化するなかで、学校と社会がより強く協力体制を作り、生徒のためにできることをみんなでしていこうという流れができています。

学校では、進路講話、キャリアガイダンス、進学セミナーという名称で、外部から大人が話に来る機会があると思います。企業人、大学教授、NPO団体やボランティアの方など、日常生活では直接的にかかわることのないひとたちが話に来られていると思います。

このよう外部者の話を聞けることも、いまは学校機能のひとつになっています。通常は、先生方が生徒の様子や年次、進路希望状況を考えて、どのようなひとに来てもらうのかを決めています。

しかし、先生方もどのようなひとに声をかけようかとても悩んでいます。それは生徒一人ひとりの希望も悩みもバラバラですし、生徒全員が「これだ!」と思うようなテーマなど存在しないからです。

そこでキャリアガイダンスのような学校機能をうまく活用するため、生徒自身が知りたいこと、聞きたいこと、理解したいことを先生に伝えてはいかがでしょうか。友人数名で意見をまとめてもいいと思います。ひとつの参考意見であっても、生徒のためのガイダンスを考える上で、生徒からの声は先生にとって大変貴重なものです。

実際、学校からも生徒の希望を集約した依頼が入ります。生徒が話を聞いてみたい職業人のリストがあり、私たちがリストアップされた職業の方に声をかけて、学校で話をしてもらいます。プロスポーツ選手、看護師、美容師、エンジニアなど、本当にさまざまです。また、卒業後の進路がどのようなものであっても前向きに暮らしていけそうなことを話せる“変わった大人”という要望もありました。

学校も私たちのような外部者も生徒のために最大限努力をします。だからこそ、生徒の希望が知れることは本当に大きなことなのです。もし、「自分はこんなひとの話を聞いてみたい!」という考えがあれば、進路指導担当の先生をつかまえて希望を伝えてみましょう!

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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