そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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学校の機能を利用しよう
~専門相談員の使い方~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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学校には「スクールカウンセラー」「スクールソーシャルワーカー」「ユースアドバイザー」と呼ばれる専門相談員が配置されるようになってきました。彼らは臨床心理士や社会福祉士、キャリア・コンサルタントなどの専門家で、生徒が日常生活をよりよく送れるように、悩みや不安を早い段階で解消するために学校に勤務しています(非常勤のこともあります)。

最近では、空き教室や図書室を利用して、特に相談事がなくても生徒が集まれる場所を学校内に作る動きも増えてきています。そこには生徒が話しやすい雰囲気を持った面白い大人がいたりしますが、こちらの動きはまだ始まったばかりなので、「私の学校にそんな場所はない」というのが普通でしょう。

都道府県ごとに異なりますが、専門相談員はかなりの学校で配置されているようです。専門相談員の機能を使うために大切なことはたったひとつです。学校生活で困ったり、進路で悩んだりする前、特に問題はなにもないときに、相談員と話をしてみることです。

相談と言われても、「いまは特に相談したいことがない」と思われるかもしれません。しかし、実際に悩みを抱えると意外と相談に行けないものです。

私は、働くことができない若者を支援していますが、ひとつの悩みが生まれると、それが複数の悩みを生み出し、それぞれの悩みが複雑に絡み合ってきます。そもそも誰に何を相談したらいのかがわからなくなってきます。結果として、悩みを整理することができないまま時間ばかりが経ち、悩みはどんどん大きくなります。

そのため、特に悩みも不安もないときに、自身の学校にいる相談員はどのようなひとなのか。相談はしやすそうなのか。話が合いそうかなどを確認しておくのが大切です。勉強でも、恋愛でも、何でも話せそうな相談員であることがわかれば、いざというとき相談に躊躇することが少なくなります。また、普段から見知った顔であれば気軽に話を始めることもできます。

相談員も人間ですので、少しでも知った仲であった方が相談を受けやすいということがあります。非常勤の場合、週一日、二日と学校にいる日も多くないですから、ちょっと時間があるとき、ふらっと相談室を訪れてみましょう。一人では嫌だなと思ったら、友達と一緒でいいかどうかも聞いてみたらいいと思います。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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