そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏によるエッセー

93-1

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巻き込まれないこと
~「みんな」というひとはいない~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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先日、センター試験が実施されました。これから大学受験なども本格化してきます。そして、数か月後にはたくさんのひとが、大学や短大、専門学校などに通うようになります。高校を卒業すると、これまでよりも活動や行動の自由度が高まります。アルバイトや旅行、起業や留学など、これまでやりたくてもできなかったことにチャレンジできる機会が増えるでしょう。

これまでは親や学校が決めた枠組みで行動することが多かったと思います。その分、友人らとの共通経験も豊富に持っているのではないでしょうか。なんとなく「みんな」と同じであり、それに居心地の良さを感じるひともいれば、違和感を持つひともいると思います。

大学生や専門学校生は、卒業後の進路について視野を広げたり、就職について深く考えたりするために、実際の職場で短期間働いてみる「インターンシップ」に取り組むことが少なくありません。いまはインターンシップ先にNPOを希望する学生も増えましたが10年くらい前は、それが当たり前とは言えませんでした。

そんな中、ある大学生がインターンシップを希望してきました。とても聡明で、明るい性格の学生だった記憶があります。話をした限りにおいて、インターンシップで何か新しい経験をすることを楽しみにしているようでした。しかし、その学生がインターンシップに来ることはありませんでした。

なぜ、彼はNPOでインターンシップをすることをやめたのか。それは、「みんな」から理解されなかったからだということを後になって聞きました。「みんな」とは誰なのでしょうか。世界中のひとでしょうか、日本人全員でしょうか。その大学に通うすべての学生を指すのでしょうか。おそらく、その学生にとっての「みんな」は同じ大学に通う仲の良い数名から数十名の友人のことだと思います。

仲の良い友人がいるのは素晴らしいことです。しかし、自分が信じた、決めた道を数名から数十名に理解されないからといってあきらめてしまうのはもったいないと思います。社会には多様な価値観を持つひとがたくさんいて、毎日会う友達が全員ではありません。むしろ、その「みんな」との共通経験、思い出はたくさんあるからこそ、その「みんな」と離れた世界で新しい発見や経験を得られるかもしれません。

世の中には「みんな」というひとはいません。一人ひとりに意見があり、一人ひとりに価値観があります。その一人ひとりの中のひとりである自分自身にも意見や価値観があるわけですので、誰かよくわからない「みんな」、とても狭い範囲の中にいる「みんな」の言葉に耳を傾けながらも、なんとなく巻き込まれるのではなく、自分の信じた道を歩んでほしいと思います。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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