そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏によるエッセー

95-1

95-1
可能性探し
~いつもと違うことをしてみよう~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:
 更新:

学校がお休みとなり、進路によってはまったく新しい生活が始まります。学年があがるのであれば、下級生が増え、勉強することも、考えることも変化が起こります。学校や部活内での役割も変わっていくのでしょう。

少し長めのお休みということで、ひとりの中学生が2週間のインターンシップに来ています。いつもは寮のある学校のため、久しぶりに自宅に帰ってきていますが、両親も仕事があるため日中に時間ができたということです。

いま、都合がつく日に朝出社して、都合がつく時間に退社します。事前に彼と話をして、何が彼にとっての「可能性探し」になるのかを一緒に考えました。その結果、普段はできないことにチャレンジしてみたいということとなり、前日、法人事務所に来たPepperを動かしてみることに決まりました。

まだ職員も十分に触れてないので、社内に相談できるひとは多くありません。しかし、ネット上にはさまざまな説明、使い方についての動画などがあり、それを観ながら自分で進めていく必要があります。まさに自学自習スタイルです。もちろん、わからないことは職員が必要に応じてアドバイスします。

可能性というのは探してみないとわからないもので、「やってみる」といった彼は二日後には基本的な使い方を理解していました。PCとPepperをつないでコレグラフという専用のアプリを使って指示命令を行っていきます。その習得スピードも驚くべきものでしたが、何よりも彼がとても楽しそうにしていることが素敵な風景として私には映ります。

自分で動かせることができるようになった後、彼に課しているのは、私のようにそういうことに不得手な人間でもちょっと人型ロボットを動かせるようになるための仕組みづくりです。説明書を作ってもいいですし、参考になった動画をまとめてもいいです。映像や音声を使うこと、彼が講座を開いてくれてもかまいません。時間的にそこまでできるのかはわかりませんが、自分の得たものを他者に伝えるのは簡単ではありません。そこもまた彼の可能性探しのひとつになるのではないかと考えています。

彼にとって、職場に通うことやロボットを動かすことは“いつもと違うこと”です。それがうまくいくこともあれば、うまくいかないこともあるでしょう。どちらにしても、可能性を探してみようと思ってみたからこそ得られるものがきっとあるはずです。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

新着記事 New Articles