95-1

可能性探し
~いつもと違うことをしてみよう~


工藤 啓
更新:2017/04/03

学校がお休みとなり、進路によってはまったく新しい生活が始まります。学年があがるのであれば、下級生が増え、勉強することも、考えることも変化が起こります。学校や部活内での役割も変わっていくのでしょう。

少し長めのお休みということで、ひとりの中学生が2週間のインターンシップに来ています。いつもは寮のある学校のため、久しぶりに自宅に帰ってきていますが、両親も仕事があるため日中に時間ができたということです。

いま、都合がつく日に朝出社して、都合がつく時間に退社します。事前に彼と話をして、何が彼にとっての「可能性探し」になるのかを一緒に考えました。その結果、普段はできないことにチャレンジしてみたいということとなり、前日、法人事務所に来たPepperを動かしてみることに決まりました。

まだ職員も十分に触れてないので、社内に相談できるひとは多くありません。しかし、ネット上にはさまざまな説明、使い方についての動画などがあり、それを観ながら自分で進めていく必要があります。まさに自学自習スタイルです。もちろん、わからないことは職員が必要に応じてアドバイスします。

可能性というのは探してみないとわからないもので、「やってみる」といった彼は二日後には基本的な使い方を理解していました。PCとPepperをつないでコレグラフという専用のアプリを使って指示命令を行っていきます。その習得スピードも驚くべきものでしたが、何よりも彼がとても楽しそうにしていることが素敵な風景として私には映ります。

自分で動かせることができるようになった後、彼に課しているのは、私のようにそういうことに不得手な人間でもちょっと人型ロボットを動かせるようになるための仕組みづくりです。説明書を作ってもいいですし、参考になった動画をまとめてもいいです。映像や音声を使うこと、彼が講座を開いてくれてもかまいません。時間的にそこまでできるのかはわかりませんが、自分の得たものを他者に伝えるのは簡単ではありません。そこもまた彼の可能性探しのひとつになるのではないかと考えています。

彼にとって、職場に通うことやロボットを動かすことは“いつもと違うこと”です。それがうまくいくこともあれば、うまくいかないこともあるでしょう。どちらにしても、可能性を探してみようと思ってみたからこそ得られるものがきっとあるはずです。

■Pepper 製品情報(ソフトバンクロボティクス株式会社)

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1