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高校生と普通
~高校生でない進路~


工藤 啓
更新:2017/06/12

前回、高校生の卒後進路として就職と進学が「普通」となっていることについて書きました。卒業とは高校生活において出口の話ですが、少し入口についても触れてみたいと思います。

いま、ほとんどのひとが高校生になります。中学時代、高校に進学するかどうかで迷ったことがあるひとは少ないのではないでしょうか。私は迷うことすらなく、中学を卒業したら高校に進学するものだと思っていました。それは疑うことのない「普通」で当たり前のことでした。

いま、私の職場には17歳の職員がいます。彼が16歳で就職してもうすぐ2年になります。

友人から紹介をされて会ってみましたが、どこにでもいる16歳でした。少しだけ違うとすれば、高校に進学する理由を考えてみて、特に進学しなければならない理由が思いつかず、その結果、高校に進学しなかったということでしょうか。

高校よりもプロとしての道を選ぶスポーツ選手がいます。時間のすべてをアート活動に投入するアーティストもいます。国境を越えていく旅人のようなひともいるでしょう。ただ、彼には高校進学より大切な何かがあったということでもないようです。

初めて会ったとき、彼は私に「働いてみたい」と言いました。高校に行っていないからでもなく、何かを実現したいからでもなく、お金を稼ぎたいからでもない。純粋に働いてみることでどんな自分に出会えるのか、そこにどんな世界や学びが存在するのかに対する好奇心がそこにあるように思いました。そしてそれは彼にとって「普通」に選択した生活であると同時に、同世代からすると「普通」でない生き方なのかもしれません。

誰でもない多くの“みんな”と同じであることが「普通」なのか、「普通」だから自然とそれを選ぶようになるのかはわかりません。「普通」だからそうするのではなく、自分で考えに考えて出した結論が周囲の「普通」と違っていても、「みんなはみんな、私は私。それでOK」と思えることを大切にしていきたいですね。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1