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右翼と左翼がどうちがうなんて当たり前じゃないか、わざわざ14歳むけの入門書などを取り上げるんじゃない、とご立腹なさらないで頂きたい。僕たちが漠然と抱いている右翼・左翼というイメージと、現実の右翼・左翼とは、すくなからず乖離があるのだ。実際に右翼体験・左翼体験双方を持つ著者ならでは書けなかった本だろう。もう書くまでもないことだろうが、著者はフリーターをし、右翼団体に属し、右翼パンクバンドを経験する。それが、最近では、プレカリアートに注目し、左翼的な街頭デモをさかんに行っている。
そんな著者が自己の体験を交えて、前半は、右翼とはなに、新右翼との違いは? 左翼・新左翼の動向はどうなっているのかを解説していく。そのために、一般的な入門書とは言い難い。例えば新左翼なら、大問題であるはずの諸セクトの内ゲバ問題などはほとんど出てこない。三里塚闘争と、「貧乏人大反乱集会」や「高円寺ニート組合」や「素人の乱」のあつかいがおなじ程度というのも入門書としては普通ではないだろう。しかし、大筋ははずしていないし、自分の経験をくぐらせて書かれているだけに、リアリティのある解説となっている。
しかし、より面白いのは後半だ。新右翼の一水会代表の木村三浩さんから、東大を中退し塾講師をしながら左翼活動にいそしむ日野直近さん(仮名)まで6人の現役の両翼の活動家にインタビューをしている。特に著名な6人を選んだというわけではない。その思想的な遍歴から始まり、「天皇について、軍隊について、資本主義について、北朝鮮について、アメリカについて、憲法について、そして、戦争について」著者が、活動家に問うていくのだ。それぞれに答えは、まったくちがう。それどころか、右翼だから、左翼だから、という共通項さえ、見つけにくいというのが実態だ。右翼・左翼といっても、こんなにヴァリエーションにとんでいるのが実態なのだ。そして、著者自身、右翼の人の話、左翼の人の話に、それぞれに共感を示し、
「どっちが正しくてどっちが間違っているかなんて、たぶんだれにも決められない」という。
しかし、著者がもっとも「とてつもなく怖いこと」として、あげているのは、「20代、30代、40代なのにまったく政治などについて無関心な人」だ。読者対象は、細かい脚注などをつけて14歳からとなっているが、それ以上の年齢の人すべてなのだ。政治で世界は変わるか? 著者は、「世界は、絶対に変えられないものではなく、きっと少しは変えられるものだということだ」という言葉でこの本をしめくくっている。
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竹村 洋介
たけむら ようすけ
東京大学文学部社会学科卒業、同大学院教育学研究科博士課程修了。専門は不登校、フリースクール、ひきこもり、NEET論など。NPO法人越谷らるご顧問理事を勤める。このように、現実の社会問題をフィールドワークする一方で、書評子としては、『ドリコムアイ』誌を中心にいくつかの雑誌でほぼ25年近くにわたり連載を重ねる。社会科学全般、社会学、教育学、心理学、経済学、政治学からはては精神医療にまでその広い守備範囲とし、日本児童青年精神医学会の評議員などをも勤めた。近畿大学では、社会学、生涯学習論などの講義をおこなっている。著書に『近代化のねじれと日本社会』(批評社)、『ひきこもり』、『学校の崩壊』(共著、ともに批評社)などがある。
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