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かつてニッポン放送社長(現:相談役)の亀淵昭信がやっていた深夜放送は、オールナイトニッポンだが、雨宮処凛が発信するインターネットラジオは、オールニートニッポンだ。その名前の通りゲストからスタッフ、聴取者まで含めてニートの、ニートによる、ニートのためのラジオ番組だ。基本的に公開放送で、会場に聴きに来ているゲストや雨宮処凛に質問する参加者までニートだったりする。
オールナイトニッポンは、DJスタイルの番組だったが、こちらは極めて真面目なトーク番組(もっともビールを飲みながら話したりしているのだが)。ニート、フリーターのことなどを中心に、今の若者が置かれている惨状をどう捉えるべきか、そしてどう打破していけば良いかについて、真剣に討論がなされる。
ゲストの人選がよい。これは、雨宮がノーギャラで出演するかわりに、本人が自由にゲストを選んだ結果、そうなったらしい。本書に収録されているゲストだけでも筋肉少女帯の大槻ケンヂ、「フリーターの希望は戦争」と言ったフリーターの赤木智弘、グッドウィルユニオン委員長の梶屋大輔、「素人の乱」の松本哉、もやい代表の湯浅誠、POSSE代表の今野晴貴、ビッグイシュー代表の佐野章二、「こわれ者の祭典」の月乃光司などなど、錚々たるメンバーだ。
これらの個性的な面々がニートについて、フリーターについて、プレカリアートについて、勝手気ままに議論するのだ。面白くない筈がない。
しかも、雨宮のあとがきによれば、それぞれがオールニートニッポンに出演した時点では、まだブレイクする以前の状態であり、オールニートニッポンに出演した後に、それぞれに大ブレイクしていったのだという。
会場は100人弱しか入れない小さなスタジオだが、インターネットを通じて何万人のニート、フリーター、ひきこもりと呼ばれる人が世界中で聴いていることだろう。
かつてラジオの深夜放送は空いている深夜の時間枠を利用して、「もう一つの広場」を作ろうとした。インターネットラジオは、その自由さを活かし、どんな世界を作り上げて行くのだろうか?
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竹村 洋介
たけむら ようすけ
東京大学文学部社会学科卒業、同大学院教育学研究科博士課程修了。専門は不登校、フリースクール、ひきこもり、NEET論など。NPO法人越谷らるご顧問理事を勤める。このように、現実の社会問題をフィールドワークする一方で、書評子としては、『ドリコムアイ』誌を中心にいくつかの雑誌でほぼ25年近くにわたり連載を重ねる。社会科学全般、社会学、教育学、心理学、経済学、政治学からはては精神医療にまでその広い守備範囲とし、日本児童青年精神医学会の評議員などをも勤めた。近畿大学では、社会学、生涯学習論などの講義をおこなっている。著書に『近代化のねじれと日本社会』(批評社)、『ひきこもり』、『学校の崩壊』(共著、ともに批評社)などがある。
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