ドリコムアイ.net…高校生の進路と教育を考えるWebマガジン
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第34回

2007-10-15UP

『雨宮処凛の「オールニートニッポン」』

雨宮 処凛
(あまみや かりん)編著
祥伝社新書
本体760円+税

第41回 〜 第21回

第41回 『イラクは食べる』

第40回 『学校裏サイト−進化するネットいじめ』

第39回 『日本の行く道』

第38回 『家族パラドクス』

第37回 『エビと日本人II』

第36回 『プライドワーク―自分を作る働き方』

第35回 『しごとダイアリー』

第34回 『雨宮処凛の「オールニートニッポン」』

第33回 『ベースボールの夢−アメリカ人は何をはじめたのか』

第32回 『サマースプリング』

第31回 『右翼と左翼はどうちがう?』

第30回 『人間自身 考えることに終わりなく』

第29回 『精神科医の本音トークがきける本』

第28回 『教育大混乱』

第27回 『豊かさと棄民たち 水俣学事始め』

第26回 『全国学力テスト、参加しません。』

第25回 『狼少年のパラドクス』

第24回 『生きさせろ! 難民化する若者たち』

第23回 『親より稼ぐネオニート』

第22回 『東京から考える』

第21回 『ヒット曲が世界を変える』

 かつてニッポン放送社長(現:相談役)の亀淵昭信がやっていた深夜放送は、オールナイトニッポンだが、雨宮処凛が発信するインターネットラジオは、オールニートニッポンだ。その名前の通りゲストからスタッフ、聴取者まで含めてニートの、ニートによる、ニートのためのラジオ番組だ。基本的に公開放送で、会場に聴きに来ているゲストや雨宮処凛に質問する参加者までニートだったりする。

 オールナイトニッポンは、DJスタイルの番組だったが、こちらは極めて真面目なトーク番組(もっともビールを飲みながら話したりしているのだが)。ニート、フリーターのことなどを中心に、今の若者が置かれている惨状をどう捉えるべきか、そしてどう打破していけば良いかについて、真剣に討論がなされる。

 ゲストの人選がよい。これは、雨宮がノーギャラで出演するかわりに、本人が自由にゲストを選んだ結果、そうなったらしい。本書に収録されているゲストだけでも筋肉少女帯の大槻ケンヂ、「フリーターの希望は戦争」と言ったフリーターの赤木智弘、グッドウィルユニオン委員長の梶屋大輔、「素人の乱」の松本哉、もやい代表の湯浅誠、POSSE代表の今野晴貴、ビッグイシュー代表の佐野章二、「こわれ者の祭典」の月乃光司などなど、錚々たるメンバーだ。

 これらの個性的な面々がニートについて、フリーターについて、プレカリアートについて、勝手気ままに議論するのだ。面白くない筈がない。

 しかも、雨宮のあとがきによれば、それぞれがオールニートニッポンに出演した時点では、まだブレイクする以前の状態であり、オールニートニッポンに出演した後に、それぞれに大ブレイクしていったのだという。

 会場は100人弱しか入れない小さなスタジオだが、インターネットを通じて何万人のニート、フリーター、ひきこもりと呼ばれる人が世界中で聴いていることだろう。

 かつてラジオの深夜放送は空いている深夜の時間枠を利用して、「もう一つの広場」を作ろうとした。インターネットラジオは、その自由さを活かし、どんな世界を作り上げて行くのだろうか?





竹村 洋介
たけむら ようすけ

東京大学文学部社会学科卒業、同大学院教育学研究科博士課程修了。専門は不登校、フリースクール、ひきこもり、NEET論など。NPO法人越谷らるご顧問理事を勤める。このように、現実の社会問題をフィールドワークする一方で、書評子としては、『ドリコムアイ』誌を中心にいくつかの雑誌でほぼ25年近くにわたり連載を重ねる。社会科学全般、社会学、教育学、心理学、経済学、政治学からはては精神医療にまでその広い守備範囲とし、日本児童青年精神医学会の評議員などをも勤めた。近畿大学では、社会学、生涯学習論などの講義をおこなっている。著書に『近代化のねじれと日本社会』(批評社)、『ひきこもり』、『学校の崩壊』(共著、ともに批評社)などがある。