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新しい労働運動を展開するNPO法人POSSEが、またやってくれた。
難しい法律用語を知らなくても、書き込んでいくだけで、何かあったとき、団体交渉や裁判の法的証拠となる手帳を発行したのだ。もちろん弁護士の監修も受けている。
スポット派遣に日雇い雇用保険が適用されるようになった現在、フリーターにとっては必携の手帳である。これ1冊で約2か月の労働状況を書き込んでいけるようになっている。
使い方はきわめて簡便。手帳の最初の部分に説明もある。また巻末には、よくあるトラブルへの対処のしかたも解説されている。
またPOSSEが受け付ける相談についても記されている。そのほかにも、1人で加入できる組合として、ガテン系連帯、首都圏青年ユニオンなどの紹介や、相談にのってくれるNPO法人として「自立生活センター・もやい」などさまざまな相談機関も掲載されている。
フリーター、派遣社員、契約社員、パートなどの非正規雇用者に役立つのはもちろんのことだが、正社員にも、病気をしたとき、ケガをしたときなどに、役立つよう工夫されている。
とりたてて、新しい労働法制を主張しているわけではない。あくまで現行の労働法制下で、実現できることを、地道にやっていこうというだけである。しかし、現行の労働法をきっちりと遵守するだけでも、現場の実態はずいぶん改善されるはずである。
もちろん、これだけで若年層の雇用問題が全て解決するわけではない。求人倍率が、そう急に好転することは望めないし、ニート、プレカリアート問題は依然として残ることだろう。
しかし、できるところから、まず実現していくことで、全体状況を良くしていこうという実用の1冊であることは確かだ。某社のデータ装備費事件など、ピンハネが横行しているなか、1冊300円と安価なのも嬉しい。
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竹村 洋介
たけむら ようすけ
東京大学文学部社会学科卒業、同大学院教育学研究科博士課程修了。専門は不登校、フリースクール、ひきこもり、NEET論など。NPO法人越谷らるご顧問理事を勤める。このように、現実の社会問題をフィールドワークする一方で、書評子としては、『ドリコムアイ』誌を中心にいくつかの雑誌でほぼ25年近くにわたり連載を重ねる。社会科学全般、社会学、教育学、心理学、経済学、政治学からはては精神医療にまでその広い守備範囲とし、日本児童青年精神医学会の評議員などをも勤めた。近畿大学では、社会学、生涯学習論などの講義をおこなっている。著書に『近代化のねじれと日本社会』(批評社)、『ひきこもり』、『学校の崩壊』(共著、ともに批評社)などがある。
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