神奈川大学調べ
奨学金と給費生制度に関する意識調査2015
貸与型奨学金「卒業後の返済に不安」
奨学金利用予定の高校生の9割


神奈川大学
更新:2015/10/13

神奈川大学(神奈川県横浜市)では、1933年から、広く全国から優秀な人材を募り、その才能を育成することを目的とした給付型奨学金制度「給費生制度」を実施している。2015年7月31日〜8月6日の7日間、高校生・既卒生・大学生500名および高校生・既卒生・大学生の子を持つ親500名を対象に、「奨学金と給費生制度に関する意識調査2015」をインターネットリサーチにより実施し、1,000名の有効サンプルを集計した。(調査協力会社:ネットエイジア株式会社)
※以下、本レポートでは、既卒生を含めて「高校生・大学生」と記述。

【 大学進学とお金 】

◆「大学進学のための費用が家計圧迫」高校生・大学生の親の8割弱
◆「大学進学で親元を離れたときの経済的負担は重い」高校生・大学生の親の8割
◆「金銭的事情での大学進学断念は社会にとって損失」高校生・大学生の親の9割弱が同意

高校生・大学生の子を持つ親500名に対し、大学進学とお金に関する状況や考えを提示し、それぞれ自身にどの程度あてはまるかを聞いた。

まず、《子どもの大学進学または大学関連の費用が家計を圧迫している》について、『あてはまる(計)』(「非常にあてはまる」と「ややあてはまる」の合計、以下同様)の割合は、78.0%と8割弱で、子どもを大学に通わせるための費用が家計にとって負担となっている現状が明らかになった。

次に、《子どもの大学進学または大学関連の費用のために、懸命に節約に励んでいる》では、『あてはまる(計)』は70.4%。7割の家庭が、子どもが大学に通う費用を捻出するため、節約に苦心していることが窺えた。

また、《自分の家庭にとって、子どもが大学進学で親元を離れることによる経済的(生活費)負担は重い》については、80.0%が同意した。子どもが遠方の大学に通うために必要になる家賃の支払いや仕送りは、多くの家庭にとって厳しい負担になるようだ。しかし、経済的な負担を重く感じていながらも、《子どもには、家計を心配して大学進学をあきらめてほしくない》に対して8割強(83.8%)が同意している。

さらに、《子どもが金銭的事情で大学進学を断念することは、社会にとって損失だと思う》には9割弱(88.0%)が『あてはまる(計)』と回答。若者が学ぶ機会を失うことは社会にとってもマイナスであるという認識を、多くの親が持っていることがわかった。

◆「大学進学にあたり、家計が心配」高校生・大学生の8割強
◆「高校在学中、家計補助のためにアルバイトを経験」高校生・大学生の5人に1人
◆大学生の6割弱が「学費・生活費のためのバイトで学業が疎かになった」と回答
◆「金銭的事情を考えると、大学進学を断念すべきなのでは……」高校生の3人に1人が憂慮
◆大学生の5人に1人が金銭的事情による大学中退を選択肢に

同様に、高校生・大学生500名に対しても、大学進学とお金に関する状況や考えについて、自身にどの程度あてはまるかを質問。

まず、《自分が大学に進学する(した)ことで、家族への経済的負担が大きくないか心配だ》に対して『あてはまる(計)』との回答は8割強(82.2%)で、経済的負担を気にかけている子どもが多いことがわかった。では、子どもたちは、何か行動を起こしているのか。

《高校在学中、家計を助けるため、アルバイトをしたことがある》では、『あてはまる(計)』は21.0%で、5人に1人の割合となった。高校生のアルバイトといえば、自分の小遣いを得る目的であることが多いと思われるが、家計補助のためにアルバイトをした経験がある子どもも、決して少なくない。

また、大学生(269名)は、《大学進学後、学費や生活費を稼ぐためのアルバイトで、学業が疎かになった》に対し、58.0%が『あてはまる(計)』と回答。学費や生活費を得るためのアルバイトで、6割弱の学生が、本業である学業に支障をきたしてしまっている実情が明らかになった。

高校生(221名)は、《金銭的事情を考えると“大学進学を断念すべきなのでは”と思う》に対し、38.5%が『あてはまる(計)』と答え、3人に1人を超える割合だ。また、大学生(269名)のうち、《金銭的事情を考えると“将来的に大学中退を選択することもあり得る”と思う》に同意したのは21.5%で、5人に1人が、金銭的事情による中退が選択肢に入ると答えた。

文部科学省による2014年9月の報道発表「学生の中途退学や休学等の状況について」(※1:外部リンク/文部科学省)をみると、経済的理由によって中途退学した学部生(国公立・私立大学、高等専門学校)の数は15,224名となっており、中途退学者の21.6%を占めている。実際に、お金の問題によって大学での学びをあきらめた子どもも少なくないことが既に判明しているが、同様の選択を考えている子どもたちが少なくないことも、今回の調査で明らかになった。

【 奨学金制度・給費生制度 】

◆「奨学金制度に関心がある」高校生・大学生の7割

既出のように、金銭的事情を原因として大学進学断念や大学中退を選択肢に入れる子どもが少なくない。そこで、子どもたちに対し、奨学金制度に関する考え・状況を聞いた。

最初に、高校生・大学生(500名)に対し、《奨学金制度に関心があるか》を聞いたところ、「はい」との回答は7割(70.6%)で、多くの子どもが関心を持っている。

次に、高校生(221名)に対し、《大学進学時、奨学金制度を利用する予定か》を聞いたところ、「はい」は43.4%となり、実際にこれから奨学金を利用する予定である子どもは少なくないことがわかる。

◆「奨学金制度に関する情報不足を感じる」高校生・大学生の3人に2人
◆地方創生枠奨学金の創設「知っている」高校生・大学生のわずか1割半

続いて、高校生・大学生(500名)に、《奨学金制度に関する情報が不足していると感じるか》を聞いたところ、「はい」と回答した割合は66.2%で、3人に2人の割合。

そこで、奨学金に関する情報のひとつとして、《日本学生支援機構の貸与型奨学金(※2)の返済を3ヶ月以上延滞している人が約18万7千人いる(※3)ことを知っているか》を聞いたところ、「はい」と答えたのは4人に1人(24.4%)にとどまった。

また、《学生の地方進学・就職の促進を目的とした「地方創生枠奨学金」(※4)が新設されたことを知っているか》では、「はい」との回答は1割半(14.6%)で、さらに低い割合となった。

貸与型奨学金は、子どもにとっては大学進学時の助けであると同時に、将来の負担でもある。利用した本人が返済していくものであるため、利用する場合の返済シミュレーションがどのようなものとなるのか、奨学金にはどのような種類があるのか、そうした情報の周知を子どもたちは求めているのではないか。子どもたちが奨学金に関する詳細情報を得る機会を増やすことも、大切なことかもしれない。

※2:「大学卒業後、返済の必要がある奨学金」と説明して聴取
※3:日本学生支援機構「平成25年度奨学金の延滞者に関する属性調査」による
※4:「無利子の貸与型奨学金で、大学などを卒業後、地元企業などに就職した場合、奨学金返還を、地方自治体が設置した「基金設置団体」が支援してくれる奨学金」と説明して聴取

◆貸与型奨学金「卒業後の返済に不安」奨学金利用予定の高校生の9割
◆「給付型奨学金を望む声」高校生・大学生の7割強

貸与型奨学金について、《貸与型奨学金を利用したら、卒業後に返済していけるかどうか不安か》について、「はい」と回答した割合は8割弱(78.4%)であった。さらに、奨学金制度を利用する予定だと回答した高校生では9割(89.6%)が「はい」と回答している。貸与型奨学金をきちんと返済できるか、懸念する子どもは多い。

一方、給付型の奨学金というものもあります。この給付型奨学金について説明(※5)した後、《貸与型ではなく、給付型の奨学金を利用できるチャンスが拡大することを望むか》について「はい」と回答した割合は7割強(72.4%)であった。

こちらも、奨学金制度を利用する予定だと回答した高校生は、全体よりも「はい」の割合が高く、83.3%と8割強になった。多くの子どもが、給付型奨学金を受けられる機会の増加に期待していることがわかった。

※5:「大学卒業後、返済の必要がない奨学金」と説明して聴取

◆「給費生制度を知っている」高校生・大学生の4人に1人にとどまる
◆過半数の大学生が「給費生試験に挑戦したかった」と回答

一方、給費生制度について、高校生・大学生(500名)に対し、まずは説明を加えずに、《給費生制度について知っているか》を聞いたところ、「はい」と回答したのは4人に1人(24.8%)であった。子どもたちが拡大を望む給付型奨学金であるにも関わらず、まだ認知率は低い。

続いて、給費生制度について上記のように説明を加えたうえで、《給費生を採用する試験を実施している大学に関心があるか》を聞いたところ、「はい」との回答は52.6%で、過半数が、給費生制度に関心があると回答。

また、《給費生を採用する試験を受験したいか(またはしたかったか)》を聞いたところ、高校生(221名)の「はい」(受験したい)の割合は42.5%であるのに対し、大学生(269名)の「はい」(受験したかった)の割合は52.4%と、高校生を9.9ポイント上回る結果に。大学に通うことによる金銭的負担を既に経験している大学生のほうが、苦労を知っているぶん、挑戦したかった、という思いが強いのではないか。

◆「給費生制度は経済格差による教育格差を縮める」高校生・大学生の7割が同意
◆「給費生制度は社会貢献意識の高い人材を育てると思う」高校生・大学生の3人に2人
◆「給費生制度は優秀な学生の可能性を広げると思う」高校生・大学生の8割

高校生・大学生(500名)に、給費生制度に関する意見を提示し、自身の考えにどの程度あてはまるかを聞いた。

まず、《給費生制度は、経済格差による教育格差を縮める》に対し、『そう思う(計)』(「非常にそう思う」と「ややそう思う」の合計、以下同様)と回答した割合は70.0%となった。経済格差が教育格差につながっているとの議論はしばしば見受けられるが、そうした格差の影響を受ける子どもたち自身にとって、給費生制度は、格差是正の可能性を感じられる仕組みのようだ。

続いて、《給費生制度は、社会貢献意識の高い人材を育てる》に『そう思う(計)』と回答した割合は65.0%で、3人に2人の割合となった。

また、《給費生制度は、志の高い学生の未来を創る》、《給費生制度は、優秀な学生の可能性を広げる》ともに、『そう思う(計)』が8割(80.0%)。学ぼうという強い意思や優れた能力を持つ子どもたちにとって、給費生制度は大きな助力になると、子どもたち自身が感じていることがわかった。

そして、《給費生制度は、もっと普及させていくべきだ》に対しては、『そう思う(計)』の割合が84.2%となり、大多数の子どもが、給費生制度の今後の普及を望んでいることが明らかになった。

■神奈川大学
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