商品No.001

エゾヤマザクラのサクランボから分離した
新しい製パン用酵母

『とかち野酵母』(100グラム)


帯広畜産大学・食品科学研究部門
(北海道帯広市)
※商品開発学科名、商品名、仕様、価格などは取材当時のものです
更新:2010/06/21
「大学全入時代」を迎え、大学自身のイメージ戦略が重要視されるようになり、各大学では研究成果を製品化するなどして、独自ブランドの商品を開発・販売するケースが多くなっている。全国各地の百貨店の催事や、見本市などでも、大学ブランド商品をとりあげることが多くなった。
このような研究成果の商品化は、大学の研究内容をたいへんわかりやすい形で私たちに伝える効果も生み出している。大学や高等学校、専門学校の研究成果を身近な形で知ることができる「大学ブランド商品」をシリーズで紹介していく。

日本で使用されているパン用小麦の大部分は輸入されているが、国産原料でつくったパンに対する人気には根強いものがある。帯広畜産大学食品科学研究部門の小田有二先生の研究グループでは、使用する主要原料である小麦と酵母を、地元北海道産にした地域特産のパンをつくろうと計画。小田先生の専門は微生物利用学で、微生物および酵素を利用した農業系バイオマスの加工変換技術に関する研究などに取り組んでいる。

パン製造において普通に使用される酵母はイーストメーカー保有の菌株を培養した菌体だ。小田先生の研究グループは、酵母を北海道の自然界から探索し、エゾヤマザクラのサクランボからパン生地を膨張させる能力に優れた酵母サッカロミセス・セレヴィシエ AK46を見出した。「とかち野」と名付けられたこの酵母の最大の特徴は、多くの製パンメーカーで採用されている『中種法』に好適という点。

良質のパンをつくるには、糖を添加しない中種生地を十分に発酵させる必要があるが、自然界から分離される酵母菌株の多くはこの性質が不十分だ。これに対して、「とかち野酵母」は、中種生地を通常のパン酵母と同様に十分膨張させることができるため、通常のパン酵母と同様のふっくらしたパンをつくることができる。

共同開発の日本甜菜製糖株式会社は甜菜から砂糖を製造している会社だが、古くから副産物である糖蜜よりイーストを生産する発酵技術や砂糖と糖液に含まれる有用成分を分離、製糖する技術、その他多くの蓄積した技術を持っている。そこで同大学は日本甜菜製糖株式会社とライセンス契約を結び、「とかち野酵母」を商品化した。

コメント:帯広畜産大学 食品科学研究部門
小田 有二教授

北海道十勝に自生するエゾヤマザクラのサクランボから新しい製パン用酵母を見つけました。
「とかち野」と名づけられたこの酵母でつくったパンは表面の焼色がやや薄く、官能検査でしっとり感が優れているという評価を受けています。「とかち野酵母」は日本甜菜製糖株式会社から販売されるようになり、北海道産小麦との組み合わせによって様々なパンが商品化されています。

■帯広畜産大学
http://www.obihiro.ac.jp/

■日本甜菜製糖株式会社
http://www.nitten.co.jp/


●帯広畜産大学
本部=北海道帯広市稲田町。国立大学唯一の獣医農畜産系の単科大学として1949年に設立された。畜産学部(共同獣医学課程、畜産学科課程)、大学院、別科(2年制)がある。