そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏によるエッセー

99-1

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チャレンジしてみる
~私の「好き」を投げてみる~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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夏休みも終わり、二学期が始まりました。就職や進学に向けて動きも出てきます。部活などは先輩がいなくなり、いよいよ自分たちの代が主役になります。何かとチャレンジが多くなる時期ですが、今夏、私は二つのチャレンジに出会いました。

都内の高校に通う女子生徒は絵がとても好きで、いつも自分が好きな絵を描いています。私は絵心がないので、彼女の絵がどれくらい上手なのかはわかりません。ただ、絵が好きで、もし絵を描くことが仕事になったらいいな、という話はありました。

そこで、たまたま見つけたのが「イラストを描くと製品化されてヴィレッジヴァンガードで売られる大賞」というものです。個人でも、企業でも、グループでも応募可能なので、高校生であろうがなかろうが、誰にでも開かれているコンペです。プロのようなひともチャレンジするかもしれません。

彼女にせっかくの「好き」を生かして、このコンペに投げてみたらどうという話に、彼女はチャレンジを決意しました。絵を描くことが好きな高校生はたくさんいると思いますが、こういった誰でも応募できるコンペの情報を見たとき、結果はともかくチャレンジをしてみられるひとはどれくらいいるでしょうか。

正直、こんな商品化の可能性があるコンペなので、バイヤーによる一次審査に通過するとは思えませんでした。しかし、大切なのは自分のために好きで描いている絵を、社会の側に投げてみること。チャレンジしてみることではないでしょうか。

高校生でチャレンジするひとが少ないのであれば、なおさらやってみることに価値があります。打席に立たないとホームランも三振もありません。そして彼女は打席に立ちました。審査結果の日、彼女は入院していました。そんなつらい状況のなか、彼女に届いたのは朗報でした。そして彼女は二次審査に進みました。

残念ながら彼女がデザインした「かぶるだけぴょこっとお耳が!耳付きニット」は商品化まではいきませんでした。しかし、彼女のチャレンジを知った地域のひとたちが、いま、彼女のデザインした商品をカタチにしようという動きをしてくださっています。

見知らぬひとびとの応援も、彼女が勇気を持って自分の「好き」を投げたからこそのものだと思います。そういうチャレンジする高校生の存在を誰もが頼もしく、力になりたいと考えています。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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