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応援されること
~自分から声をかけていく~


工藤 啓
更新:2018/01/09

周囲に陰ながらでも、目に見えていても、がんばっているひとはいませんか。部活でいい成績を残すためでも、誰かのためのボランティア活動でも、「おっ、いいことしているな」という瞬間的なことでも構いません。

先日、自転車置き場で駐輪していると、少し離れたところで駐輪しようとしていた年配の女性の自転車が倒れてしまい、まさにドミノ倒しのように私の方まで自転車が倒れてきました。朝だったのでみんな急いでいます。心の中では助けてあげたいと思っていても、会社や学校に遅刻してしまうので手を差し伸べられないひともいるでしょう。

私は特に急いでいたわけではないため、私が駐輪したところから一台ずつ自転車を起こしていました。その女性は「すいません…」といいながら、自ら懸命に自転車を起こそうとしています。そのとき、ひとりの男子高校生が来て、何も言わず自転車を起こしていきました。女性が「ありがとうございます」とすまなそうな声で御礼を伝えても特に反応はありません。

無視していたのか、聞こえなかっただけなのかもわかりませんが、黙々と(すごいスピードで)自転車を起こして、その場を立ち去ろうとしました。私は少し近くにいましたので、「おはよう。自転車すごい倒れたねー」と声をかけたところ、「そうっすね」と小さく返事をしてくれました。

続けて、「なかなかできないことだし、女性も大変そうだったし、すごく助かったと思うよ。きみのこと尊敬するよ」と伝えました。本当にそう思ったというのもありますが、彼の行動を見ていたのが私とその女性だけだったので、ちゃんと声をかけないといけないと、そのときは思ったんです。

すると彼は、「女性の声は聞こえていたけれど、返事をするのが恥ずかしかったんですよ。そういってくれて嬉しかったです」と言って歩いていきました。彼は誰かに見られているから手助けしたわけでも、応援されるから行動したわけでもありません。

しかし、そういうちょっとした行動はすごく価値あるものだとちゃんと伝えることも大切だと思うんです。きっと彼は同じ状況に出くわしたら手助けをするでしょう。もしかしたら、誰かのよい行動や努力を見たとき、それに対して声をかけるようになるかもしれません。そういう輪の広がりか、一生懸命なひとを(他人であっても)応援する社会につながっていくのではないでしょうか。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット

【2016年 掲載】
92 嫌なことから先に、早めに~85

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1