シリーズ3(17回連載)

大学・短期大学17学問系統別
大学の先生に聞く「学部・学科選択のポイント」
season 2

Part.4
情報メディア


電気通信大学
情報理工学研究科 総合情報学専攻
兼子 正勝(かねこ・まさかつ) 教授
※組織名称、施策、役職名などは取材当時のものです
更新:2016/03/22
進学先を検討する際、将来の目標や学びたいことを明らかにしたうえで、自分の希望にあった勉強・研究ができる進学先を探すことが重要だ。具体的に学部を検討してみると、同じ名称の学部はたくさんあり、大学によって学ぶ内容に特徴があることがわかる。では、どのような点に注目してこれらの学部を検討していけば良いだろうか。ここでは17の学問分野別に、大学の先生にインタビュー。自分にふさわしい学部を選択するコツ・ポイントについてアドバイスをもらった。

いまは、メディアを使った情報技術が、個別の蛸壺のような機能ではなく、大きな全体として動いており、それらをどう組み合わせるのかがデザインに要求されている。

人間社会と理工学フィールドの接点

電気通信大学は、建築などを除くほぼすべての理工学系分野をカバーする理工系の単科大学で、2016年4月からは従来の情報理工学部と学科・コースから、情報理工学域に再編されます。

現行の学部・学科のフィールドには物質、デバイス、電気、機械などとともに情報やメディアがあり、人間社会につながっています。この、情報通信技術を使って人間や社会に触れるところでコンテンツやサービスまで含めて教育するのが総合情報学科で、中でもメディア情報学は電通大でも最も柔らかい、人間社会との接点の部分に当たります。この位置づけは情報理工学域になっても大きく変わることはありません。

私はここでメディアデザインというものをやっています。どの時代でも主要な産業に対してデザインが生まれてくる。たとえば印刷が活発になるとグラフィックデザイン、工場で大量生産が始まるとインダストリアルデザイン(工業デザイン)、コンピュータの時代の最初の頃はデータをどう設計するかで情報デザインが発達しました。

いまは、メディアを使った情報技術が、個別の蛸壺のような機能ではなく、大きな全体として動いていますので、それらをどう組み合わせるのか、コンテンツやサービスをどのようにユーザの動きにつなげていくのかが、要求されているデザインだと思います。

機能の集合ではなく機能全体をデザイン

たとえば2007年頃からスマートフォンが本格的に普及し、携帯電話はスマートフォンに置き換えられていきます。かつて日本は携帯電話の時代に優れた製品を多く生み出しましたが、スマートフォンでは優位な立場に立っていない。これは自動車でのインダストリアルデザインのような、デザイン的な考え方が日本の情報技術にうまく入っていなかったということです。

昔の携帯電話は通信や通話、ゲームなどの機能が別々に入っていて、しかもそれが機械自体に組み合わされていたので入れ替えができません。それがスマートフォンになると、これらの機能が全部お互いに連携し合い、機能の集合ではなくて、ユーザーが動きやすいよう機能全体をデザインするという発想に変わっている。この発想が日本にはなかったのです。ここに至る架け橋を授業で教え、研究しなければいけない。

情報メディア技術を使ってサービスやシステムを作る。これを理論に基づいて設計し、構想する(デザインを作る)。アイデアだけでなく、実際にものを作り評価し、データをとって評価しています。私たちの研究室では、メディアに関していろいろな知識を入れながら、ものを作る姿勢を身につけることができます。

たとえば「(2+1)次元映像アノテーションシステム」(特許申請中)は、動画投稿サイトを使った試みです。このシステムでは動画や動画の中の一つの点にコメントを打つだけでなく、動画の中に線を引いてコメントを入れることができます。

たとえばサッカーなどの試合で、選手の動きに線を引き、「このパスはいいね」などのコメント入れることができます。動画の動きの中にみんなが線を引いてコメントをまとめて表示できるので、試合の動きが非常によく分かります。これは点から線への発想の転換に対応したものですが、このようなデザイン理念に基づいて作ったものがユーザーに気に入ってもらえるかどうかどうかを評価していくわけです。詳しくは研究室のサイトで公開実験しているので、体験してみてください。このほか漫画と動画の組み合わせなど、面白い研究もやっています。

高校生へのアドバイス

受験では入試の難易度もあると思いますが、こういう研究室があるから来たい、という視点で見てほしいですね。またどこの大学でも、勉強する上で一番大事なことは、基礎をきちんと身につけさせてくれるところかどうかです。

これから皆さんは、勉強を続け、企業に入れば、さまざまな応用をしなければならない。そこで重要なのが基礎です。この大学なら数学、プログラミングといった基礎技術の教育体制がしっかりしている。そういったところが重要だろうと思います。基礎は面白くないと思うかもしれませんが、後で振り返ると、会社に入って仕事をしていくときなどに、その重要性に気がつくはずです。基礎教育がしっかりしているところに最初に目をつけていただきたい。

もう一つは個人的な感想ですが、先生が生き生きしているところ、先生が楽しそうなところがお薦めです。先生が楽しく仕事をしていると授業も楽しい。電通大は基礎もしっかりしていますし、メディア系は楽しい先生も多いです(笑)。

■電気通信大学
■電気通信大学 兼子研究室

▲兼子 正勝 教授

 

学び系統09
情報メディア

【学べること】
情報工学、通信工学、ネットワーク、情報の収集・管理・活用、システム構築・デザイン、ネットビジネス、メディア、デザインなど

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