EYE's Journal

いま知りたい教育関連のテーマについて、ドリコムアイ編集部が取材・調査

17-3

シリーズ17 自立進学〈親がかりでない大学進学の可能性〉
Part.3
自立進学シミュレーション①
〔1〕大学在学中にかかる費用(2013年度)

企画・構成
田中 俊亘(教育ジャーナリスト)
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
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大学4年間はどれくらいの費用を必要とするのか。奨学金の貸与額、教育ローンの借入額を決めるには、その把握が必要です。まずは調査資料からそれぞれの費用を求め、シミュレーションの基本条件となる学費や生活費を割り出してみます。

進学&就学費/表-(5)参照

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国立大学の初年度納入金81万7,800円は、入学金と授業料を合わせた標準額です。ここから入学金28万2,000円を引いた53万5,800円が、2年目以降も必要な授業料。前・後期で分納する場合は、初年度前期が授業料の半金に入学金を合わせた54万9,900円、以降は26万7,900円となり、4年間の合計は242万5,200円です。表には記していませんが、公立大学の納付金は国立大学に準じます。

表-(5)の私立大学の納付金は、文部科学省が算出した公表資料(平成23年度)を参考にしました。文、教育、経済、法、社会福祉学部などを含む文科系の初年度平均が約123万円。そこから入学金を除いた約98万円が2年目以降の推定納付金です。また、いわゆる理系の中で最も多くの入学者を集める理学部・工学部の初年度平均は約155万円。2年目以降は約129万円です。

私大医学部と歯学部の初年度平均は700万円超と一般家庭の平均年収を上回り、薬学部も約220万円と高額です。医歯薬系への自立進学は、対象が国公立大学であることが前提。学費全額免除の特待生にでも選ばれない限り、私大は不可能といえます。

修学&生活費/表-(6)参照

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日常必要な修学費や生活費については、日本学生支援機構の平成22年度調査資料を参考にしました。表-(6)の通り、自宅から通う場合でも、年額56万円程度が必要です。対してアパートなどを借りて通学する場合は116万円程度です。

なお、アパート暮らしよりも24万円ほど安上がりな学寮は、大学によっては用意されていない場合があり、入寮申し込みも合格発表後で、部屋数にも限りがあるため、自立進学のあてにはしづらいのが実情です。進学する大学に割安な学寮がある場合は申し込むことをお勧めしますが、事前の計画では、アパート住まいを前提にしてシミュレーションしておいた方がいいでしょう。

また、自宅を離れて通学する場合は、アパートを借りる際の敷金や、最低限の家財道具が必要です。日本政策金融公庫が国の教育ローンの利用者に対して行った調査(平成24年度)によると、その平均額は47万7,000円ですが、25万円未満で賄ったケースも20%を超えています。

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