EYE's Journal

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20-1

シリーズ20 21世紀を創造する学部・学科 新増設特集
Part.1
千葉商科大学 国際教養学部(2015年4月開設)
バランスよい人間力を備えた
真のグローバル人材を育成

千葉商科大学 国際教養学部 学部長(就任予定)
宮崎 緑 教授
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
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千葉商科大学は、一貫して実学教育を行い、近年は時代を先取りする学部も次々と開設してきた。そして2015年4月、「国際教養学部」を新設する。新学部がめざすもの、特色などについて学部長の宮崎緑教授に話を伺った。

1年4期のクォーター制でアクティブラーニングを

▲宮崎 緑 教授

国際教養学部がめざすもの。それを宮崎教授は明確に説明する。

「国際教養学部の目標は、真のグローバル人材を育成することです。世界のどこでも使える力、私は人間力と呼んでいますが、その力を身につけた人材を育てたいのです」

宮崎教授が指摘する人間力とは次の5つの要素を含む。

①語学力、②海外経験、③幅広い教養(日本、アジア、世界の文化や価値観などを理解できる力)、④問題解決能力、⑤情報収集・編集・発信力。

図1 千葉商科大学 国際教養学部の人間力

この目標を実現するためカリキュラムにはさまざまな工夫を凝らしている。

「授業は徹底したアクティブラーニングを行います。座学もありますが、参加型、体験型の学びを重視しています。そして、これを効果的に実現するため、クォーター制を導入しました」

クォーター制は1年を4つの期間に分けて授業を行うものだ。

「1クォーターは8週間です。1科目について週2回授業を行い、16回で完結します。8週間で1つのテーマを集中的に学び、それが身についたことを確認したうえで次のステージにステップアップしていくのです」

1年次から人間力の基礎を身につけるとともに「日本研究」にも取り組む。

「真のグローバル人材になるには自らのアイデンティティを確立することが必要です。日本とは何か、日本人とは何かを知るということですね。そのため、日本研究の一環として、入学式を終えたら、その日に海外に飛び立ち、日本を見つめ直します」

2015年度は上海にいく。同学と交流している大学を訪れて学生と交流したり授業を体験したり、現地の企業や日本の総領事館を訪問する予定である。

「海外にいくことで、カルチャーショックを受けたり日本に対する見方が変わったり、ワクワクする体験ができ、それが4年間学んでいくモチベーションになります。1年次の夏には奄美大島を訪れ、かつての琉球と日本本土との狭間で築いてきた独自の文化や風土に触れ、日本とは何かを考えます」

図2 千葉商科大学 国際教養学部の学び

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2年次秋には全員が短期留学 
企業と連携した体験型授業も

2年次の秋(3クォーター)には全員必修の短期留学に赴く。留学先はアメリカ、イギリス、オーストラリア、インド、中国、台湾など計7大学。

「1大学あたり最大15人程度、各大学では日本人だけで集団にならないようにクラスに振り分けます。現地で学び、現地の人と交流し、現地の文化や価値観を知り、そこでしか得られないことを身につけてもらいたいですね」

3年次からは、課題解決型、プロジェクト型の授業で応用力、実践力を高めていく。その授業のなかには企業などとコラボレーションするものもある。

「たとえば、グローバルに事業展開する食品会社さんに協力していただいて『アグリビジネス』という科目を開設します。これは、農場での作物生産、工場での製品化、商品としてのデザイン、宣伝広告、小売りまでを講義と現場体験で学ぶものです」

多彩な学びをしっかり支援するしくみも整えている。

「履修するごと科目のつながりを視覚的に理解することができる『ナレッジマップ』、学びの成果を蓄積して本人だけでなくアクセスを許可した人も閲覧することができる『学修ポートフォリオ』などを独自に開発しています」

細部まで配慮した教育方法、教育内容によって「世界で働く」(海外企業や日本企業の海外事務所などで働く)「世界と働く」(国内で世界を対象にした仕事に就く)「世界をもてなす」(東京オリンピックなど異文化交流に貢献する)真のグローバル人材を育てようとしているのだ。

「将来、本学部の出身者が日本国内にとどまらず世界各国で、社会をつくり文化を発展させていくキーパーソンになる。ぜひそれを現実のものにしていきたいと思います」

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