EYE's Journal

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20-2

シリーズ20 21世紀を創造する学部・学科 新増設特集
Part.2
青山学院大学 地球社会共生学部(2015年4月開設)
社会科学の幅広い知識を身につけ
世界で仕事ができる人材を育成

青山学院大学 地球社会共生学部 学部長(就任予定)
副学長 平澤 典男教授
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
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青山学院大学は2015年4月、「地球社会共生学部」を相模原キャンパスに開設する。どのような学部なのか、どのようなカリキュラムで学ぶことができるのか。副学長で学部長就任予定の平澤典男教授に話を伺った。

4領域の科目群を自由に学べる
オーダーメイド・カリキュラム

▲平澤 典男 教授

地球社会共生学部はどのような学部なのか、平澤教授は次のように話す。

「本学部は社会科学を中心に据えたグローバル系の学部です。社会科学の幅広い知識とそれを活かす実践力を備えたグローバル人材を育てるチャレンジングな学部といえるでしょう」

新学部がめざすものは、その名称が物語っている。

「30年くらい前から国際化の時代といわれるようになりました。ただ、それは国を前提にした発想です。いまはグローバル化の時代といわれます。国を越えて、地球規模で考えないと解決できない問題が次々に出てきているからです。国をベースにした国際社会ではなく『地球社会』で人々が『共生』していくことが不可欠になり、それを実現する人材の育成が必要なのです」

新学部は時代を先取りして、アジアを重視している。

「世界のGDPのうちアジアは3割ですが、20~30年後には5割を占めると予測されています。本学部の卒業生が社会の第一線で活躍する頃にはアジアが重要な時代になる。だから、そこに目を向けた教育研究が必要なのです」

新学部の学びは「オーダーメイド・カリキュラム」が大きな特色。これはタテ軸としての「クラスター(分野・領域)」とヨコ軸としての「モジュール(科目群)」から成り立つものだ。

「学ぶべき社会科学として4つのクラスターを設定しました。国境を越えた問題として差別、貧困、紛争、情報格差などがあり、グローバル人材にはこれらの問題を理解し解決していく力が求められます。そこで、差別については社会学を中心とした『ソシオロジー領域』、貧困については経済学などの『ビジネス領域』、紛争については国際関係や国際協力を考える『コラボレーション領域』、情報格差については『メディア/空間情報領域』というクラスターで学べるようにしたのです」

図1 青山学院大学 地球社会共生学部の学び

モジュールは学ぶテーマごとに2~4科目で構成される。

「各モジュールは、関連性のある科目で構成していて、それを学ぶことでひとまとまりの知識が得られます。そして、クラスターごとに、入門、中級、発展と段階を追って学べるように、数多くのモジュールを設けています」

モジュールは、クラスターを越えて自由に選ぶことができる。これがオーダーメイド・カリキュラムであり、社会科学の幅広い学びが可能になる。

フィールドワーク型の半期留学で
主体性や協調性を身につける

学内での学びとは別に、全員必須の半期(セメスター)留学を行うのも特色の1つだ。

「知識だけでは世界、とくに途上国の人とともに働ける人材にはなれません。コミュニケーション能力、主体性、積極性、協調性、リーダーシップなどが必要です。それを身につけるためにフィールドワーク型の半期(セメスター)留学を行います。課題を設定して、現地で学んだり調査をしてレポートをまとめます。半期間の留学は、旅行者の視点ではなく生活者の視点で物事を見るための最低限必要な期間です」

留学先は、ダイナミックに変貌しつつある東南アジアが主対象になる。

さらに、グローバル人材としての力が自然に身につく学生寮も用意する予定だ。

「本学部だけでなく大学として設置するのですが、日本人と海外からの留学生が暮らす混住型の寮です。日々、外国人とふれあうことで、自然にコミュニケーション能力や主体性、協調性などが身につくはずです」

平澤教授は、将来を担う高校生が世界に目を向けることに期待を寄せる。

「グローバルな出来事や社会問題に関心があり、探求心やチャレンジ精神を持っている方は本学部にきてください。私たちはそういう方を、知識と実践力を備え世界の人々と一緒に仕事ができる人材に育てたいのです」

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