シリーズ21

文科省データから見る大学進学事情

Part.1
高まる高校生の地元志向


編集部
※組織名称、施策、役職名などは取材当時のものです
更新:2014/09/22
この夏、文部科学省から「平成26年度学校基本調査(速報)」が公表された。そこに記された高校卒業者総数1,047,391人は、平成に入って最も多かった4年度(1,807,175人)との比較で約76万人、率にすると42%の減少。対する大学進学率は32.7%→53.9%と20ポイント以上上昇し、大学数も514校→781校で267校増えている。受験生を取り巻くこういった変化が、進学に対する意識に大きな影響を与えていることは間違いない。近年よくいわれる「地元志向の高まり」もそのひとつと言えるだろう。

大学進学者の約35%が
地元大学に入学

平成26年度の大学入学者の出身高校の所在地を横列に、入学した大学の所在地を縦列に配して都道府県ごとの進学率を記した一覧(表①)である。色分けしたのは進学者の割合が3%(100人中3人)を超えた地域だ。

出身高校と同じ都道府県に所在する大学に入学した、いわゆる地元進学者の割合は総じて高い。一覧の左上から右下に斜めに連なる帯がそれで、すべての地域で1割を超え、47都道府県中30都道府県で地元進学の割合が最も高い。特定他地域への進学率が地元大学への進学率を上回るは福島、茨城、栃木、埼玉、千葉、神奈川、山梨、長野、岐阜、三重、滋賀、奈良、和歌山、鳥取、島根、佐賀、大分の17県(表②)である。

表② 特定他地域への進学が地元を上回った県
都府県名 地元進学率 特定他地域(進学率)
福 島 19.30% 東京(21.27%)
茨 城 19.43% 東京(33.12%)
栃 木 21.97% 東京(28.40%)
埼 玉 31.68% 東京(49.56%)
千 葉 32.04% 東京(44.63%)
神奈川 40.33% 東京(50.29%)
山 梨 26.62% 東京(33.76%)
長 野 15.45% 東京(25.15%)
岐 阜 18.83% 愛知(47.64%)
三 重 20.22% 愛知(38.85%)
滋 賀 22.37% 京都(39.10%)
奈 良 14.46% 京都(20.68%)
大阪(39.10%)
和歌山 10.76% 京都(11.12%)
大阪(41.21%)
鳥 取 11.14% 大阪(12.39%)
島 根 15.72% 広島(17.28%)
佐 賀 15.05% 福岡(39.70%)
大 分 22.65% 福岡(23.82%)

うち、全国から大学入学者を集める東京に進学率トップを奪われたのは福島、茨城、栃木、埼玉、千葉、神奈川、山梨、長野の8県である。とはいえ埼玉、千葉、神奈川は東京を中心とした首都圏に数えられる地域であり、茨城、栃木は東京と同じ関東エリアであることから、東京への流出とまではいえないかもしれない。愛知への進学者が地元を上回る岐阜と三重や、京都・大阪の方が多い奈良と和歌山、福岡に隣接する佐賀も同様。順に名古屋エリア、近畿エリア、北九州エリアを地元とする大学への進学と捉えていいのではないだろうか。

ひとつ残された福島は東北地方の一画をなす地域だが、その南側は関東の茨城、栃木、群馬と接している。東京への進学率21.27%に対して、地元・福島に留まった者は19.30%。その差は2ポイントに満たない。

平成4年度との比較では
約8ポイント増加

近年、受験生の地元志向の高まりがささやかれる。先のデータはその裏付けともいえるが、では、どれくらい高まっているのだろうか。

表③は、団塊の世代ジュニア層が大学受験適齢期を迎えた平成初期、なかでも18歳人口が最も膨れ上がった平成4年当時と今日(同26年)の、地元大学への進学率を比較したものだ。見ての通り割合がダウンしたのは北海道、奈良、鳥取、鹿児島、沖縄の5地域に過ぎない。

その中で北海道と沖縄はもともと地元大学志向の強い土地柄であり、減ったとはいえ北海道は微減で7割近くの、5ポイント以上ダウンした沖縄も5割を超える高率をキープしている。北海道と同様、奈良、鹿児島の減少率は0.5ポイントにも満たないいわば横ばいが現実だ。

ほとんどの地域で地元志向の高まりが見てとれる。その率が10ポイントを超えるケースも少なくない。かつてから地元志向が強いといわれていた愛知にいたっては7割を超えるまでに高率化している。

表③ 平成4年度と26年度の地元大進学率の比較(単位:%)
都道府県名 平成4年度 平成26年度 増減率
北海道 68.70 68.43 −0.27
青 森 25.82 35.53 9.71
岩 手 20.73 27.31 6.58
宮 城 52.42 58.93 6.51
秋 田 22.38 23.10 0.72
山 形 17.82 18.94 1.12
福 島 17.43 19.30 1.87
茨 城 14.62 19.43 4.81
栃 木 14.87 21.97 7.10
群 馬 12.72 29.32 16.60
埼 玉 25.77 31.68 5.91
千 葉 25.69 32.04 6.35
東 京 57.29 64.60 7.31
神奈川 35.69 40.33 4.64
新 潟 18.97 34.23 15.26
富 山 18.12 18.24 0.12
石 川 30.64 41.91 11.27
福 井 22.63 29.39 6.76
山 梨 16.15 26.62 10.47
長 野 5.84 15.45 9.61
岐 阜 14.32 18.83 4.51
静 岡 12.07 28.39 16.32
愛 知 56.27 70.58 14.31
三 重 15.95 20.22 4.27
滋 賀 5.32 22.37 17.05
京 都 46.23 49.84 3.61
大 阪 47.45 54.82 7.37
兵 庫 35.25 45.02 9.77
奈 良 14.48 14.46 −0.02
和歌山 4.92 10.76 5.84
鳥 取 14.41 11.14 −3.27
島 根 12.69 15.72 3.03
岡 山 26.69 43.04 16.35
広 島 36.16 53.12 16.96
山 口 15.92 24.05 8.13
徳 島 22.60 36.20 13.60
香 川 15.60 16.66 1.06
愛 媛 27.93 34.04 6.11
高 知 12.75 18.65 5.90
福 岡 59.88 63.52 3.64
佐 賀 12.13 15.05 2.92
長 崎 18.82 33.99 15.17
熊 本 42.46 45.46 3.00
大 分 13.82 22.65 8.83
宮 崎 19.79 26.45 6.66
鹿児島 32.58 32.36 −0.22
沖 縄 59.69 53.81 −5.88
■文部科学省「平成26年度学校基本調査速報の公表について」
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