EYE's Journal

いま知りたい教育関連のテーマについて、ドリコムアイ編集部が取材・調査

24-3

シリーズ24 動き出した大学ポートレート
Part.3
興味や目的から大学を探し、
特色への理解を深める(前編)

独立行政法人大学評価・学位授与機構 大学ポートレートセンター事務室長
小山田 享史(おやまだ・りょうじ)
日本私立学校振興・共済事業団 私学経営情報センター 私学情報室
副主幹:南 浩司(みなみ・こうじ)
主任:土屋 哲樹(つちや・さとき)
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
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大学ポートレートは、2015年3月10日に国公私そろっての情報提供がスタートした。大学ポートレートをどのように活用すればいいのか、大学ポートレートセンター事務室長の小山田亨史氏、日本私立学校振興・共済事業団の南浩司氏、土屋哲樹氏に話を伺った。

大学ポートレートを大学選びのポータルサイトに

▲小山田氏

小山田氏は、大学ポートレートを大学選びの「ポータルサイト」と位置づけて活用してほしいと語る。

「日本には800近くの大学、300以上の短期大学があり、それぞれの大学(短期大学含む。以下同)が特色ある個性的な教育研究を行っています。そうした多種多様な大学のなかから、高校生が自分に適したところを探すのは簡単ではないと思います。

ただ、逆に言うと、これだけたくさんの大学があるのですから、しっかり探せば、自分に適した大学を見つけることができるのではないでしょうか。

▲南氏

大学ポートレートは現時点で、国立大学は100%、公立大学は約73%、私立大学は約88%、公立短期大学は約64%、私立短期大学は約85%が参加しているので、大学ポートレートだけでも非常にたくさんの情報に接することができます。さらに、各大学のサイトへのリンクも貼っています。

ですから、大学選びの入口、ポータルサイトと位置づけていただいて、大学ポートレートでさまざまな情報を得るとともに、関心が深い大学についてはリンクから各大学のサイトに入って、より詳しく調べるというかたちで活用していただきたいと考えているのです」

興味があることや職業から「入りたい大学」を探す

▲土屋氏

小山田氏は、大学ポートレートを活用することによって、学力だけでなく、興味があることやなりたい職業などを中心に据えたり、各大学の特色をよく理解したうえでの大学選びが可能になるとも指摘する。

「これまでの大学選びでは、偏差値を中心に『入れる大学』を探すことが多かったと思いますが、大学ポートレートを使えば、興味や目的、つまり自分が学んでみたいことや将来なりたい職業などから大学を探すことができるようになります。

また、各大学の基本的な情報から特色や強みなどまでわかりやすく公表しているので、各大学への理解が深まります。その情報は、国公立大、私立大それぞれ共通のフォーマット、共通の項目で掲載されているので、大学ごとの比較もしやすくなっています。

大学ポートレートを活用すれば、学んでみたいこと、なりたい職業、大学の特色などを中心に据えた『入りたい大学』選びが可能になります。そして、小規模大学や地方大学など情報に接する機会が少ない大学を発見することにもつながると思います」

高校1年生と高校3年生など学年によって必要とする情報が異なってくる場合もあるが、学年に応じた使い方などはあるのだろうか。

「大学ポートレートとして、学年ごとなど型にはまった使い方は想定していません。それぞれの方がそれぞれの使い方をしていただくのがいちばんいいと思います。

ただ、高校に入学したばかりの人と受験学年を迎えた人では、求める情報が異なってくることもあるでしょう。

ですから、たとえば高校1年生なら、どういうことに興味があるのか、どういう職業に就きたいのかという観点から、それに関連する大学を探してみるのも一つの方法です。この場合は、フリーワードを入力して関連のある大学、学部学科を探してみるといいですね。

ある程度、大学が絞り込めた段階なら、学費、就職状況など知りたい項目ごとに大学を比較研究してみるのもいいと思います。先ほどお話ししたように共通フォーマット、共通項目なので、簡単に比較できます。現時点では1画面で複数の大学を表示する機能は持たせていないので、複数の画面を開いたり、大学ごとにプリントアウトしたりして見比べていただければと思います。

さらに学年が進んで、志望校の候補が決まってきたら、入試に関する情報を調べてみて、より詳しい入試制度や入試科目などについてはリンクから各大学のサイトに入って最新の情報を得るようにするといいのではないでしょうか」

大学の情報収集に慣れ
主体的に大学を調べる契機に

▲大学ポートレート 目的別検索

大学ポートレートを使うことは、大学に関する情報を読み込むことに慣れたり、主体的に大学を調べる契機にもなる、と小山田氏は話す。

「大学ポートレートは、大学ごとにかなりの情報が載っていて、それぞれの大学の個性や特色を知るためには、ある程度の情報量を読み込まなければなりません。そういうことに慣れていないケースもあると思いますが、大学ポートレートを利用することで、情報を読み込む習慣が身につくのではないでしょうか。

大学ポートレートの情報のなかには、専門的な用語やなじみの少ない用語もあると思います。そのため、用語の意味を解説する『用語辞典』を掲載して、利用する方が使いやすくなる工夫もしています。

そして、大学ポートレートで気になる大学があれば、リンクからその大学のサイトに入って調べたり、『資料請求』ボタンを使って資料を請求するなど、主体的に大学の情報を調べる契機にしていただければと考えています」

「用語辞典」は大学ポートレート全体のトップ画面や私立大のトップ画面などに設けられている。掲載している用語は今後、ユーザーからの問い合わせが多いものを追加するなどさらに拡充していく予定だ。

次回Part.4は、大学ポートレートの具体的な使い方についてご紹介します。

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