第6回 キャリア教育実践レポート

「産業社会と人間」 Part.3

東京都立晴海総合高等学校の実践例(3)


インタビュー
東京都立晴海総合高等学校3年生
Mさん、Kさん
※部署名、役職名、施策などは取材当時のものです
更新:2006/06/19

晴海総合高校では、平成7年の創立時から「産業社会と人間」を実施してきた。入学直後から1年間かけてじっくり行われるこのキャリア教育が、生徒たちにどれほど大きな影響を与えるものであるか。それは、同校の卒業生たちの活躍ぶりを見れば容易に想像できる。今まで、IT業界を始めとして様々なジャンルで注目を集める数多くの人材が、ここから巣立っていった。

今回は、現在、晴海総合高校の3年次に在学中の生徒たちに、「産業社会と人間」の授業の感想を聞いた。卒業を数カ月後に控えた彼らは2年前に受けたこの授業を、今どのように感じているのだろうか。

——1年生の時に「産業社会と人間」の授業を受けたことで、一番良かったのはどんな点ですか?

Mさん 自分にどういう仕事が向いているのかが、よくわかったことだと思います。中学時代からやりたい仕事はあったのですが、それが自分に向いているのかどうかは、この授業を受ける前にはわかりませんでしたから。

Kさん 私は自分のことを再確認できたのが面白かったし、とても良かったです。それと、将来やりたい職業があったのですが、そのためにどうしたらいいのかわかりませんでした。でも1年のときにこの授業を受けたことで、今はこういうことをやらないといけないんだろうなというのが見えてきました。

そのころ、他の学校に行った友だちと話すと、みんなは大学に行くためにこれをやらなくちゃというような話しをしていたんですね。そういうのを聞くと、ちょっと優越感を感じました(笑)。あなたたちは大学に行って、そのあと何するのって。私はそういうところまで考えてるよって。

 早い時期に将来のことを考えることができたのは、2年生で科目を選択するときにもすごく役立ったと思います。進路を考えると、得意ではないけれどこういう勉強をしなくちゃいけないとか思いながら選択しましたから。

——いろいろな活動のなかで一番面白かったのは何ですか?

 私は「職業レディネステスト」ですね。あのテストを受けて、自分は思っていたとおりの人間だとはっきりわかったので、自信を持って夢に向かって進んでいけるようになって、とても良かったです。

私の希望は公務員になることなのですが、そのために選択授業では事務系の仕事に使える知識を身につけたし。こういうことは、この学校だからできたんだと思います。

 私は「NASAゲーム」が面白かったです。それにその後の、自分を知るための活動も面白かったです。私は自分が思っていた自分と違うという結果がでて、親にそれを言ったんですね。「私ってこうなんだって」と。そしたら「そうだよ」と言われて(笑)。「そうか、親にはわかっていたんだな」って思いました。

——この授業は課題や発表が多いですが、大変でしたか?

 職業について調べる授業では、たくさん本を読んだりしました。でも、それに対して大変と思ったことはなくて、逆に楽しかったです。それに班ごとに調べたりしたことで、知らない子とも仲良くなれたし。

 この授業では本音で話さないと何も進まないから、みんなそういうことが平気になるんです。それがとてもいいと思います。

 この授業をきっかけに、みんな自由に自己開示しているので、うちの学校は足のひっぱりあいも全くないんです。何を言ってもやっても批判されないし、こういうことを言ったらどう思われるんだろうと遠慮するような雰囲気もないし。みんな誰の進路に対しても喜んであげるという関係は、晴海ならではの校風かなと思います。

——11月に行った「職場訪問」はどうでしたか?

 私は税務署に行ったんですけど、直接いろいろな人と話すことができて楽しかったです。特に、自分たちと歳の近い若い人と話せたのは良かったです。

 私は希望したところの倍率が高くて、結局それほど興味がないところに行ったんですけど、予想していなかった収穫を得ることができました。ずっと男の人が会社の説明をしていて、みんなでそれを聞いていたんですね。でも会社ってこういう感じで会議をやっているんだろうな、と思ったりして(笑)。それに、「職場訪問」の翌日、みんながそれぞれ自分が行ったところの話しを聞けたので良かったです。

——この授業は1年間だけですが、ここで学んだことによって、その後、自分が変わったと思うようなことはありますか? 何か行動に移したことなどは?

 特別なことではありませんが、早い時期から気になっている大学のキャンパス訪問には何度も行っています。

でもそれは私だけではなくて、2年生ではオープンキャンパスに行くのが宿題になっているし、早い人は1年生のときから行っていますよ。早くから動き始めたので数多くの大学を見ることができて良かったと、みんな言っていますね。

 私はそれほど多くの学校訪問には行っていないのですが、行きたい学科があるところには何校か行きました。それと、簿記の勉強を1年生のときから始めて資格をとりました。

——「学校訪問」に行って、特に注意して見るのはどういうところですか?

 設備は気になります。

 私も! それと在学生がどういう感じかということも。雰囲気がなじめないところには行きたくないですね、絶対に。

■東京都立晴海総合高等学校
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