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友だちの悩み
~相談に乗りづらいときの助け舟~


工藤 啓
更新:2018/03/19

前回、長野県とLINE社が行った県内中高生のためのLINE相談に寄せられた相談内容について触れました。もともとは「いじめ」や「死にたい」という声を受け止める目的で始まりましたが、ふたを開けてみると本当にさまざまな相談がありました。

恋愛や進路についてであれば、話を聞いたり、相談に乗ったりすることはできるかもしれません。しかし、家族の問題や性の悩み、そして自殺念慮(死にたいという思い)に関する相談は、どうしたらいいのか戸惑うこともあるでしょう。

ひとの悩みは濃淡があるように見えますが、自分にとっては大きな悩みにならないものでも、そのひとにとっては非常に大きく、押しつぶされそうなほどの悩みになることもあります。話の内容とともに、友だちの表情などを見て、「これはどうしたらいいのだろうか」「どんな言葉をかけていいかわからない」と、受け止めきれない相談のとき、どうしたらいいでしょうか。

少し調べてみれば、公的な機関でも、民間の企業やNPOでも、相談窓口を開いています。予約制や電話、メールなどで受け付けています。SNSで相談できることもあります。友だちのために適切な相談先がないか調べてみることは大きな助け舟になるはずです。

相談現場では、さらに踏み込むひとも来ます。自分の悩みではなく、友だちから受けた相談にどう回答していいのか悩んでいる、という相談が稀にあります。素晴らしい友情だと思いながら、友だちとしてそこまで抱えるとしんどくならないだろうかと心配にもなります。

みなさんは特定の深い悩みを受ける相談員でも、そのためのトレーニングを受けているわけでもないと思います。他者の葛藤や戸惑いを受けるには、それなりの知識や経験がないと苦しくなってしまうことがあります。

ですから、「こんな相談先があるらしいよ」という情報提供に留めて、そこに相談するかどうかは本人に任せていいのではないでしょうか。その際、一点だけ気を付けてほしいのは、よくわからない相談先や相談者を紹介しないことです。どんなに綺麗なサイトでも、どんなにすごい実績がありそうでも、真実は画面からはわかりません。もし情報提供までしようと考えるのであれば、国や自治体(都道府県市区町村)という公的機関の相談先だけにしてください。

民間のNPO法人として相談を受け付けている私が言うのもおかしいかもしれませんが、それだけ相談先を選ぶというのは難しい作業です。間違った先を紹介してしまうことは不本意だと思います。少なくとも公的機関は何かあったときの責任もしっかりとるはずですので、ここの部分は覚えておいていただけると嬉しいです。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2016年 掲載】
92 嫌なことから先に、早めに~85

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1