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言葉にしてみる
~また行きたいです~


工藤 啓
更新:2018/06/11

育て上げネットに通う中学生や高校生のなかには、さまざまな事情で学校にあまり通えなかったり、みんなが盛り上がる行事に参加できなかったりするひともいます。せっかく少なくない時間を同じ場所で過ごしたのだから、学校とは別の思い出づくりをしたいという声もありました。

そういう学校とは異なる場を大切にしたいということから、希望者で大学のキャンパスに行ってみたり、普段出入りすることのない企業に行って、社員さんらとランチをいただいたりします。地域のお祭りに「ガチ」で出店したり、サマーキャンプなどはとても盛り上がります。

中学生なら中学生、高校生なら高校生だけで何かをするのもいいのですが、さまざまな価値観を持つひとたちと混ざって何かにチャレンジするというのは、誰にとっても成長の源泉だと思うのです。

毎年2月か3月に子どもたちと旅行に行っています。修学旅行的でもあり、3年生にとっては卒業旅行的でもあります。私たちはこれらの行事を押し付けることはありません。「行ってみたい」「やってみたい」という声があれば実現できるよう努力しますし、全員が参加しなければならないということもありません。

サマーキャンプや旅行の希望はとても多いのですが、移動費や宿泊費など少なからずお金がかかります。それでも企業から助けていただいたり、クラウドファンディングなどを通じて寄付を集めたりして実現しています。

そしてイベントが終われば、「また行きたい」という声をもらったり、お手紙をいただいたりして、また次も実現できるように頑張ろうと思うわけです。私たちはそういう「やってみたい」を応援するためにいるからです。

今年も彼らの「行きたい!」「やってみたい!」が叶うように職員みんなで話し合いをしています。ここ数年の変化としては、子どもたちから「自分たちでも資金調達を手伝いたい」という話が出ることです。

何でも私たちに任せ、自分たちは楽しむだけでいいのかなと思ったのかもしれません。いまは立場を越えて、一緒にできることはともに頑張るスタンスでやっています。そして子どもたちも少し気が付いてきたようです。自分自身に直接お金が入るわけでもなく、自分たちを含む誰かのために知恵や時間を使うことは、「案外悪くない」ということを。

もしかしたら、ウチの卒業生のなかから、将来一緒に働く仲間が生まれるかもしれません。それもこれも「また行きたい」「今度はこれをやってみたい」と、彼らが素直な気持ちを伝えてくれるからに他なりません。

工藤 啓
くどう けい

特定非営利活動法人「育て上げ」ネット理事長。1977年6月2日東京生まれ。大学中退後渡米。帰国後、ひきこもり、ニート、フリーター等の就労支援団体「育て上げ」ネット設立。2004年5月NPO法人化、現在に至る。
2005年…内閣府「若者の包括的な自立支援方策に関する検討会」委員/厚生労働省「キャリア・コンサルティング導入・展開事例検討委員会」委員/文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員/埼玉県「ニート対策検討委員会」委員/福島県「若者としごと」研究会アドバイザー/立川市教育委員会立川市学校評議員
著書「大卒だって無職になる」(エンターブレイン)、「ニート支援マニュアル」(PHP研究所)ほか

NPO法人「育て上げ」ネット
Lineup

【2016年 掲載】
92 嫌なことから先に、早めに~85

【2015年 掲載】
84 親とのコミュニケーション~76

【2014年 掲載】
75 もし自分だったらどうする?~67

【2013年 掲載】
66 一声かける勇気~60

【2012年 掲載】
59 進学と奨学金~53

【2011年 掲載】
52 非日常下の成長~46

【2010年 掲載】
45 卒後生活への不安~37

【2009年 掲載】
36 仕事につながるナナメの関係~28

【2008年 掲載】
27 学校を辞めるということ~19

【2007年 掲載】
18 仕事を変えるとき~9

【2006年 掲載】
8 感情と積極性~1