そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

19-1

19-1
大人への通過儀礼を考える
~前編~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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先日、事務所に向かう途中に艶やかな着物に身を包んだ女性のグループを見かけました。少し遅い初詣かと思ったのですが、しばらくして、その日が成人式であることに気がつきました。私の年の成人式は記録的な大雪であったことも思い起こされました。

いまから60年前の1948年に成人式は生まれました。祝日法の公布、施行により、20歳になる若者に対して、“今日から大人の仲間入り”であることをお祝いすることになったのです。つまり、社会が彼ら/彼女らを一人前の大人として認める日が制定されたわけです。

しかし、ここで疑問がわきます。「社会は本当に20歳の若者を大人と見なしているのか?」ということです。確かに、法律上ではアルコールの摂取や喫煙は認められますが、意識のうえでは、「20歳など、まだまだ子供」という態度で接していませんでしょうか。

一方では、“もういい年なのだから”と、自立的に生きることを求め、他方では“所詮子供”扱いでは、若者の側にも混乱が起こって当然です。自分はどっちなのだろうかと。

学校や家庭では、常に夢を持つことの重要性が説かれてきたのに、就職活動時期になると、いつまでも夢ばかり見ていないで現実を見るよう指導される。さらに職場では、即戦力を求めているといって自発的に動くことを強いられ、また、終わりのないキャリアアップを求められる。夜は酒場で3年は耐えろ、まずは従えと積極性を出す前から受動性の大切さを教えられる。

これらのギャップに苦しみ、耐えられなくなった、従わなくなった若者に対しては、「いまどきの若者はこれだから」と、ひとくくりにして非難が浴びせられる。

そんなどっちつかずの大人に怒りを感じている若者がいます。感情を露にできる若者はまだいいのかもしれません。ギャップを受け入れられず、それを自らが至らないためだと自己責任にすべてを帰結してしまった若者は、自尊心のみならず、社会とのつながりすらも絶たざるを得なくなることがあるのです。「20歳」は若者(子供)なのでしょうか、大人なのでしょうか。私自身は、20歳を大人として認める価値観を大切にしたいと思いつつ、すべての若者が大人であることは難しいのではないかと感じています。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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