東京の専門学校

都心の専門学校ならではの、特色ある学科やコースを取材

10-1

第10回 vol.1
薬業科〔2年制〕
(前編)

東京医薬専門学校
(東京都江戸川区)
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
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全国から入学者を集める東京の専門学校にスポットをあて、教職員インタビューを通じてそのカキュラムに迫ります。
薬の資格といえば薬剤師。その養成機関は6年制の薬学部ですが、2年制の専門学校の中にも「薬」の名がつく学科が用意されています。そこでは、どのような学生を相手に、何をめざした教育が行われているのでしょうか。東京医薬専門学校(江戸川区)の「薬業科」を訪ね、持田和夫先生に話を聞きました。

病院やドラッグストアなどで
活かせる資格の取得をめざす

▲持田 和夫先生

――薬局や薬店の従業者育成を目的とした学科と考えていいのでしょうか。

ドラッグストアなどでの接客販売員の育成を目的としたドラッグストア専攻と、病院や調剤薬局で薬剤師をサポートする医療事務スタッフを育成する病院薬局専攻があります。

ドラッグストア専攻では登録販売者の資格取得をにらんだカリキュラムを、病院薬局専攻では卒業と同時に調剤報酬請求事務専門士2級が取得できるカリキュラムを編成しています。

――登録販売者とは?

薬事法改正によって生まれた新しい資格です。

2009年から施行される改正薬事法は、一般用医薬品を副作用などの程度によって第1類から第3類に分類しています。特に注意が必要な医薬品や新薬などが第1類で、その販売は薬剤師による手渡しや文書による説明が義務づけられています。

対して、第2類以下の一般用医薬品の販売は薬剤師に限りません。2008年8月から実施される登録販売者試験に合格した者であれば販売できることになりました。

――これまではすべての薬店に薬剤師が必要だったのですか。

▲薬局を模した実習室

以前にも医薬品販売業の資格として薬種商という資格がありましたが、これは、どちらかというと、個人ではなく店舗に与えられる許可制度といった性格を持つ資格でした。今日のようにチェーン展開するドラッグストアの人材ニーズには、とても応えられるものではありません。

薬種商試験は登録販売者試験の実施にともなって廃止され、薬種商の有資格者については所定の手続きの後に自動的に登録販売者に資格移行する措置が取られています。

登録販売者は、個人の実務経験だけを受験資格とするとても公平な資格制度です。高卒以上の学歴があって、1年以上薬局や薬店で実務経験を積めば、だれでも受験できます。また、高卒の要件を満たさない人でも、3年以上の実務経験があれば受験できるし、逆に、大学で6年間の薬学教育を受けた人であっても、実務経験こそ免除されますが、受験して合格しないと資格は得られません。

――東京医薬専門学校はどうなのでしょう。薬業科を卒業しても実務経験が必要ですか。

ドラッグストア専攻の場合は必要ありません。東京医薬専門学校の薬業科では、文部科学省と厚生労働省が推進する日本版デュアルシステムを導入しています。これは、ドイツのマイスター制度をモデルにして、専門学校の授業と企業などでの就業を組み合わせて行う職業訓練システムです。インターンシップや臨地実習と違うのは、就業中の待遇が従業員として扱われること。当然、給与も支給されます。

通常の実習や研修では、登録販売者試験の受験資格が定める実務経験には該当しませんが、給与が支給される従業者としてのキャリアなら実務経験としてカウントされます。

ドラッグストア専攻では、1年次後半から2年次前半の1年間、週3日を現場での就業、2日間を学校での授業とすることで、実務経験の規定をクリアしています。

一方の病院薬局専攻の場合はめざす職種が異なるため、デュアルシステムでの就業先も異なります。そのため、登録販売者については、通常通り、卒業後の実務経験が必要ですが、その分、調剤報酬請求事務専門士2級が卒業と同時に取得できます。

《つづく》

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