研究室はオモシロイ

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第11回 Part.1

第11回 スポーツビジネスのあり方を科学的に考察(1)
Part.1
スポーツマネジメントとはなにか

早稲田大学
スポーツ科学学術院 原田 宗彦研究室
※組織名称、施策、役職名などは原稿作成時のものです
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開幕まではスポーツ以外の問題がクローズアップされがちだった北京オリンピック。しかし、いざ始まると世界最大のスポーツの祭典にふさわしく、トップアスリートたちの熱戦が興奮や感動を呼び起こす大会となった。同時に、開会式や閉会式の大がかりなアトラクション、多額の放映権料を支払っている国に合わせた決勝時間の設定など、オリンピックが巨大なスポーツビジネスの側面を持っていることも感じさせる大会だった。そこで今回は、スポーツビジネスの研究に取り組んでいる早稲田大学スポーツ科学学術院・原田宗彦先生の研究室を訪ね、スポーツが持つビジネスの側面についてお話を伺うことにした。(Part.1/全5回)

スポーツビジネスで重要になる
マネジメントとマーケティング

▲原田 宗彦 教授

原田先生は、スポーツマネジメント、スポーツマーケティングを中心にスポーツビジネスを幅広く研究している。海外の学会出席などで多忙な中、東伏見キャンパスにある先生の研究室で取材がスタート。まず研究内容について話を伺う前に、スポーツマネジメント、スポーツマーケティングとはどのようなものなのか教えていただくことにした。

「スポーツマネジメントは、人とスポーツを結びつけるものです。人とスポーツを結びつけるには、スポーツのプログラム、スポーツの施設、指導者、仲間が集うクラブ、情報提供などが必要になりますが、そうしたしくみづくりなどの営み全体をスポーツマネジメントといいます。

スポーツマーケティングは、人とスポーツを結びつける過程を促進するもので、いろいろな手立てを使って、人とスポーツの結びつきを活性化していきます。

スポーツビジネスの発展とともに、スポーツマネジメント、スポーツマーケティングの必要性が高まり、スポーツ科学の中でも重要なジャンルになっているのです」

マクロ・メゾ・ミクロの視点から
スポーツビジネスにアプローチ

原田先生の研究領域は、スポーツビジネス全般にわたっているが、その中でも柱の1つに据えているのがプロスポーツだ。そして、プロスポーツの研究には3つの視点があるという。

「1つは、プロスポーツのリーグ全体の構造や経営、FIFAワールドカップのようなメガ・イベントの影響、各国のプロスポーツの比較などマクロの視点があります。次に、各チームや地域コミュニティなどを対象にするメゾの視点があり、もう1つ、各チームのファンの意識や行動などを対象とするミクロの視点もあります。

ただ、3つの視点といってもアプローチの違いであって、まったく異なる研究をしているわけではありません。それぞれの視点が絡み合う部分も含めてプロスポーツを総合的にとらえていくようにしています」

《つづく》

●次回は「Jリーグでみるプロスポーツのマーケティングについて」です。

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