第11回 Part.2

スポーツビジネスのあり方を科学的に考察(2)


早稲田大学 スポーツ科学学術院
原田 宗彦 研究室
※部署名、役職名、研究内容などは取材当時のものです
更新::2009/02/02
第2回
Jリーグでみるプロスポーツのマーケティング

オリンピックにみるように、プロスポーツの世界は巨大なビジネスの側面を持っている。前回は、早稲田大学スポーツ科学学術院・原田宗彦先生に、スポーツビジネスの具体的な研究テーマについて説明していただいた。今回は、テーマの1つであるJリーグを切り口にして、スポーツのマーケティングについて、話を伺ってみよう。

Jリーグの年間収入は
イングランドの20%弱

プロスポーツの中で、その誕生から現在までを多くの人が知っていて、関心も高いのがサッカーのJリーグ。原田先生は、そのJリーグの経営諮問委員会委員も務めている。そこで、Jリーグの研究を中心に、3つの視点ごとに話を伺っていくことにした。まず、マクロの視点ではどのような研究に取り組んでいるのだろうか。

「ひと口にマクロの視点といっても、いろいろなテーマがあるので、一例としてサッカーリーグの収益構造についてお話ししましょう。世界各国のサッカーリーグの放送権料はどのくらいでチケット収入はどのくらいかといった収益構造の比較や分析です。

具体例として04〜05年シーズンを見てみましょう。『ビッグ5』と呼ばれる、イングランド、イタリア、ドイツ、スペイン、フランスのリーグとJリーグを比較してみると、その規模や収益構造の違いが分かります」

原田先生の説明を要約すると次のようになる。ビッグ5のうち最も収入が多いのはイングランドで、19億7,400万ユーロ(1ユーロ=150円換算で約2,961億円)、最も少ないフランスでも6億9,600万ユーロ(同1,044億円)。これに対しJリーグは3億7,000万ユーロ(同555億円)だ。

企業スポーツから出発した歴史が
Jリーグの収益構造にも反映

収入の内訳を見ると、Jリーグの場合、入場料収入の割合は20%で、ビッグ5とそれほど差はない。しかし、ビッグ5に比べて、スポンサーシップ(スポンサーからの収入)の割合が46%(ビッグ5は14〜30%前後)と非常に多く、その反面で放送権料の割合が8%(ビッグ5は26〜55%)と極端に少ない。

「日本のプロスポーツは、もともと企業スポーツから発展してきた歴史があります。Jリーグの場合、市民が中心となって生まれるチームも増えていますが、やはり企業スポーツから出発しているチームが多いので、収入に占めるスポンサーシップの割合が多いのです。

放送権料については、Jリーグは厳しいですね。ビッグ5に比べると、現状ではコンテンツとして弱い面があるということでしょう。

ただ、イギリスのリーグは150年の歴史があるのに対し、Jリーグは誕生からわずか15年ですから、現時点で収入や放送権料が少ないのは仕方ない面もありますね。

今後、Jリーグ全体のレベルが高くなって、ヨーロッパのリーグのような価値を持ち始めると、収入も放送権料も上がっていくのではないでしょうか。そのためにも、リーグおよび各チームのマネジメント、マーケティングの強化が重要になると思います」

《つづく》

●次回は「スポーツによる地域の経済効果を研究する」です。

■早稲田大学 スポーツ科学学術院

▲原田 宗彦 教授

 

Lineup

第15回
工学院大学
工学部電気システム工学科

第14回
日本女子大学
家政学部被服学科

第13回
慶應義塾大学 経済学部

第12回
成蹊大学
理工学部情報科学科

第11回
早稲田大学
スポーツ科学学術院

第10回
首都大学東京大学院
都市環境科学研究科

第9回
明治大学
情報コミュニケーション学部

第8回
実践女子大学 生活科学部

第7回
東京工業大学大学院
理工学研究科

第6回
早稲田大学
教育学部地球科学教室

第5回
埼玉大学 教養学部

第4回
東京農工大学大学院
工学教育府応用化学専攻

第3回
青山学院大学
文学部日本文学科

第2回
東京理科大学
薬学部生命創薬科学科

第1回
東京大学大学院
情報理工学系研究科