第1回 Part.4

ロボットによる日常作業の可能性を探る(4)


東京大学大学院 情報理工学系研究科
稲葉 雅幸 研究室
※部署名、役職名、研究内容などは取材当時のものです
更新::2006/05/29

食器洗いや掃除機がけなどの動作を実現

家庭内日常作業支援の研究は、より具体的な日常生活を想定し、ロボットに役立つ行動をさせることをめざしている。

「これは、いま重点的に進めているものですが、キッチンなど家のなかでHRP2はどういう動作ができるか調べていく研究といえます。何をやらせてみるかは研究室のメンバーが考え、これができたら次はこれという具合にどんどん発展させていきます。

たとえば、ロボットの手を使って食器洗いの動作をさせましたが、手が直接水に触れないようにロボット用の防水手袋も開発しました。掃除機がけの動作もできるようになりましたが、両腕を扱うのは難しいし、動かすと変形する掃除機のパイプを目で認識できる機能が必要という問題もあります。テーブル上の雑巾がけでは、力の入れ具合をどのように覚えていけばいいのか考えることが必要です」

このほかにも、床のほうきがけ、食器洗浄器への食器入れ、前述したやかんからカップへの水注ぎなどの動作などが可能になっている。ただ、これらはまだ、そういう動作ができることを確認したという段階だ。

「次の段階として、動作に意味を付随させたり、判断ができるようにすることがあります。

食器洗いなら、食器がきれいになっていなかったらどうするかという問題があります。掃除機がけも、いまはゴミのない状態で動作をしていますが、ゴミがあったときにそれを掃除できるようにする、あるいはゴミかどうかを判断させるという問題が出てきます。水注ぎの場合も、カップにどれくらい水を入れたらいいのかという判断が必要になります。

本当に人の役に立つ動作ができるようになるために、次に何をしないといけないかを考え、研究を進めていくということです」

日常生活支援ロボットの
実用化は近い?

HRP2の話を聞いていると、ロボットの進化に驚かされると同時に、人間レベルの行動をさせるには多くの課題が残されていることもうかがえる。それでも稲葉先生は、比較的近いうちに実用化が始まる可能性を指摘する。

「HRP2の研究では、このロボットでどういう動作ができるかを実証的に示すことをめざしてます。その実証例ができれば、このタイプのロボットをつくろうという企業が出てくるでしょう。そうなると、短時間で実用化に向けた開発が進む可能性があります。

やがてロボットは、自動車の次を担う産業として発展していくことになるかもしれませんね」

暮らしのなかに入ってくるロボット。アニメや映画ではお馴染みの光景だが、それが現実のものになるなら、私たち人間もロボットとの上手な付き合い方を「研究」しておいたほうがいいのかもしれない。

■東京大学大学院情報理工学系研究科
■東京大学

▲稲葉 雅幸 教授

 

▲HRP2

Lineup

第15回
工学院大学
工学部電気システム工学科

第14回
日本女子大学
家政学部被服学科

第13回
慶應義塾大学 経済学部

第12回
成蹊大学
理工学部情報科学科

第11回
早稲田大学
スポーツ科学学術院

第10回
首都大学東京大学院
都市環境科学研究科

第9回
明治大学
情報コミュニケーション学部

第8回
実践女子大学 生活科学部

第7回
東京工業大学大学院
理工学研究科

第6回
早稲田大学
教育学部地球科学教室

第5回
埼玉大学 教養学部

第4回
東京農工大学大学院
工学教育府応用化学専攻

第3回
青山学院大学
文学部日本文学科

第2回
東京理科大学
薬学部生命創薬科学科

第1回
東京大学大学院
情報理工学系研究科