第2回 Part.2

バイオインフォマティクスで
ゲノム創薬への道を切り開く(2)


東京理科大学 薬学部 生命創薬科学科
宮崎 智 研究室
※部署名、役職名、研究内容などは取材当時のものです
更新::2006/09/11

試験管も実験台もない「ドライな研究室」

時代を先取りするかたちで2004年度から活動を始めた宮崎研究室だが、学内においてどのような役割を担おうとしているのかについてもうかがってみた。

「私の研究室では遺伝子配列の情報を扱っていますが、その情報を学内のさまざまな研究室でも活用できる基盤をつくりたいと考えています。もし、生物的な実験が必要になれば、ほかの研究室でやっていただき、共同研究を進めるかたちになります。

私の研究室には実験台はなく、あるのはコンピュータだけ。だから『ドライな研究室』といわれているのですが、実験では非常に効率が悪い部分をコンピュータを使って探り、知識抽出をします。逆に、実際に検証する場合は、ほかの研究室が実験をする。そういう棲み分けをしていくことになるでしょうね」

宮崎先生の具体的な研究テーマは、大きく見ると3つに分かれている。それは、(1)創薬情報ベースの研究開発、(2)分子情報ネットワークの解明、(3)創薬のためのゲノム情報解析手法の創造。どの研究も、まだ始まったばかりだが、それぞれのテーマについて具体的に教えていただくことにしよう。

国内外の研究機関が公開している
データベースを収集

創薬情報ベースの研究開発は、何をめざし、どのような研究を行っているのだろうか。

「創薬の研究を進めるためには、遺伝子の情報はもちろん、タンパク質の立体構造や発現に関するデータなどを網羅的に持っていることが必要になります。遺伝子やタンパク質の研究は、数多くの研究機関が取り組んでいますが、それらの研究プロジェクトはほとんど国の予算が付いているため、研究成果はWEB上で公開されています。そこで、まず、創薬に使えそうなデータベースをなるべくたくさん収集するようにしています」

このデータベースの収集には、研究室に所属する学部4年生も卒業研究の一環として加わっている。また、宮崎先生はデータベースを集めるだけでなく、さまざまなデータベースを共通のフォーマットに落とし込むシステムの開発にも取り組んでいる。

データの見せ方を共通化するシステムを開発中

「データベースは全部、データのかたちが違います。個々のプロジェクトが独自にデータをつくっているからです。たとえば、A研究所とB研究所では遺伝子データの見せ方がぜんぜん違う。それを見比べるには、それぞれのデータベースにある何万というデータの一つひとつを対応させないといけないのですが、人間の目でできるようなデータ量ではないんですね。そこで、コンピュータで共通のフォーマットに落とし込むシステムの開発を進めているのです。

いまは、まず個々のデータがどういうかたちで公開されているかをじっくり調べています。それを踏まえながら、汎用的な情報の見せ方ができるシステムを開発しているのです」

これができると、もとのデータの見せ方はバラバラでも、共通性のあるデータとして見ることができるようになる。このシステムは、宮崎先生が設計を担当し、プログラマーがプログラミングを担当するスタイルで開発を進めているところだ。

《つづく》

●次回は「ヒトゲノム解析の成果と新たな手法について」です。

■東京理科大学 薬学部
■東京理科大学

▲実験台も器具もない実験室

 

▲データベースには膨大な量のゲノム情報が格納されている

Lineup

第15回
工学院大学
工学部電気システム工学科

第14回
日本女子大学
家政学部被服学科

第13回
慶應義塾大学 経済学部

第12回
成蹊大学
理工学部情報科学科

第11回
早稲田大学
スポーツ科学学術院

第10回
首都大学東京大学院
都市環境科学研究科

第9回
明治大学
情報コミュニケーション学部

第8回
実践女子大学 生活科学部

第7回
東京工業大学大学院
理工学研究科

第6回
早稲田大学
教育学部地球科学教室

第5回
埼玉大学 教養学部

第4回
東京農工大学大学院
工学教育府応用化学専攻

第3回
青山学院大学
文学部日本文学科

第2回
東京理科大学
薬学部生命創薬科学科

第1回
東京大学大学院
情報理工学系研究科