若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー
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支援の場がオープンになれば、
支援の余白も拡がっていく
山﨑 梓(やまざき・あずさ)
公開:
私が育て上げネットに入職したのは2014年ですが、その当時と最も変わったと感じることのひとつは支援の場がオープンになってきたことです。
もちろんいまも、支援の場の多くは利用する若者とスタッフだけで構成されていて、仕事体験などの機会があれば企業の方も関わるようになるのが前提ではあります。以前はそれが必要条件のひとつであったような印象すらあります。
近年はいわゆる孤独・孤立の課題へのアプローチに注目が集まるようになり、そうした特定の人だけという空間ではなく、より自由な場を期待する声も増えてきたように思います。
システム的に言えば、利用登録の考え方が変化してきました。以前は利用登録をする前に接点を持つことへ難色を示す方もいたのですが、現在はお試し期間を作ったり、登録前にちょっとだけ参加できる講座、オンラインでの非対面相談などが充実してきています。
一般的な対人支援サービスを考えれば、決して特殊な取り組みではありません。多くのサービスがそうであるように「自分に合っているか」を納得してから利用できるようになってきています。
この変化にはもうひとつ大きな要素があり、これまで交わることのなかった人とのつながりが生まれてきています。
たとえば、ここ数年実施している若者向けのバーベキュー企画には、支援をしてくださっている寄付者の方も参加できるようにしました。従来であれば、さまざまな背景を持つ利用者とのかかわりを持つことは難しいとすら考えていたこともありますが、実際にやってみるとメリットの方が多かったように思います。
まず若者たちにとってはさまざまな大人と出会えること。支援者はどうしても支援を前提にした関わりであり、世界を広める意味では好都合の場です。そして、寄付者にとっても実際の若者と関わりを持つことで、実際に困っている若者たちのイメージを深めることができます。
これまで限定的な空間で支援が行われてきたということは、寄付者にとっては支援のイメージがつかみづらい状況なので、実際に会って話せる場が貴重な機会になっています。
普段は交わることのない人たちに直面した若者は、いままで見せたことのないような表情、行動を出すこともあり、私たち支援する側からみても価値のあることです。
支援の場がオープンになっていくには課題もありますが、若者支援を極端な専門性や特殊なものにするのではなく、誰もが関わり支えられる余白があるものへと変容させてきています。
こちらを読んでくださって少しでも興味を持ってくださった方は、よかったら視察・見学を検討していただけたらうれしいです。若者たちの姿を見て感じるものは、字面だけで見るのとまた違ったものになるのではと思います。
認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか
認定特定非営利活動法人
育て上げネット 事務局次長
山﨑 梓
1990年生まれ。2010年から学生ボランティア団体で災害救援活動や地域貢献活動に参加。卒業後に育て上げネットに入職。ユースコーディネーターとして支援に関わりながら調査・研究を行い、広報担当マネージャーを経て、現在、事務局次長。行政・自治体の若年無業者向けの支援に関わる技術審査員等歴任。共著に『若年無業者白書2014-2015』(バリューブックス)


