若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー
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子育てから学ぶ
つながりを作る活動のヒント
山﨑 梓(やまざき・あずさ)
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休みの日に子どもを連れて散歩していると声をかけてくれる人がいます。「かわいいねぇ、いまどれくらい?」という小さなコミュニケーションですが、東京の街中で知らない人に声をかけられるのはこういうときくらいだと思います。いままで好意的な関わりしか出会ったことがなく、子どもが歓迎される社会は今も残っているなと感じながら日々向き合っています。
子どもが生まれてから大きく変わったのは、近所の方々とのコミュニケーションでした。いままでは地域清掃で話すくらいの関係性だった方のお宅にお邪魔するようになるとは、想像もしていませんでした。
私たちはまったく土地勘のない場所に引っ越してきた身です。もともとそこまで強いコミュニティがない地区だったのは幸いで、肩身が狭いと感じたことはまったくありませんでした。逆に言えば、仲良くなるきっかけもほとんどなく、肯定も否定もされない関係でもありました。そのなかで、子どもという存在が関係性を大きく変えたのは不思議な経験です。
孤立や孤独が社会課題として語られるようになってだいぶ時間が経って、わたしたち育て上げネットでもいろいろな手段でアプローチをしてきました。そのなかで感じるのは、つながりは必要から生まれるわけではなさそうだということです。
就労支援の多くは「働く」や「就学」という目標があり、必要だからサービスを利用するものです。しかしながら、必要なこと、やらなければならないことは必ずしもやりたいこととは限りません。「働く」ことはポジティブな感情ばかりではないので、モチベーションを作るのは簡単なことではありません。
子どもに声をかけてくれた方々は、少なくとも「必要だから」そうしてくれたわけではないでしょう。迷惑になるのではと遠慮がちな方もいます。それでもきっと声をかけたかったからそうしてくれたのだと思います。
孤独や孤立の問題が、人とのつながりの不足と言い換えられるのだとしたら、私たちにとって子どもはつながりを増やしてくれたことは間違いありません。
支援をする私たちと、つながりの不足を感じている若者の間を取り持ってくれるものが何かは、人によって異なります。ときにはフットサルイベントがそうであるし、K-POPの雑談がきっかけになることもあります。
話したいこと、やりたいことを起点にしながらまずはつながりを生み出す。以前から言い続けていることではありますが、自分自身に起きた経験から改めて間を取り持つ存在の重要性を感じました。
日本中でふらっと立ち寄れる居場所が増えてきています。次はその居場所に来てもらうためのつなぎの存在が、大切になっていくことが予想されます。今もさまざまな団体で試行的な取り組みがされていますが、欲求に応えるきっかけ作りの事例が増えていくことを期待しています。
認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか
認定特定非営利活動法人
育て上げネット 事務局次長
山﨑 梓
1990年生まれ。2010年から学生ボランティア団体で災害救援活動や地域貢献活動に参加。卒業後に育て上げネットに入職。ユースコーディネーターとして支援に関わりながら調査・研究を行い、広報担当マネージャーを経て、現在、事務局次長。行政・自治体の若年無業者向けの支援に関わる技術審査員等歴任。共著に『若年無業者白書2014-2015』(バリューブックス)


