若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー
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支援者が合わずに
利用断念したことがある方に
お伝えしたいこと
山﨑 梓(やまざき・あずさ)
公開:
4月はいろいろと動きがあり、忙しなくしているうちに過ぎていってしまうもので、気づくともう5月となっていました。この時期は、育て上げネットでも新しく入職した方を迎える研修を行っています。
多くの方は支援職として入っているので各所の拠点で勤めています。研修も毎回同じ場所に全員を集めるのは大変ですから、オンラインで実施しているものがある一方、拠点のなかでのOJTも大事なので、1日はみなさんに集まっていただき役員との対話時間を作っています。
今回は私もお話をさせていただく側に参加しており、新たに入職された方々の背景についても少しだけ聞くことができました。
印象的だったのは、近しいキャリアの方がほとんどいらっしゃらなかったことです。育て上げネット職員の前職に「近接感がない」のは以前から強く、ずっと支援職という経歴の方もいますが、広告代理店のようなビジネス領域のど真ん中にいた方もいます。そのほか元々当事者だったという方、3月まで学生だったという方もいるのです。
支援の場において、支援者側の背景が多様であることは強みだと感じています。例えば皆が同じ資格やスキルを持っていれば、共通言語は多くなりますがチームとしてできることが狭まってしまいます。いわゆる支援の職域とは離れている方々もいることで、個々人にアジャストしていく昨今のスタイルに合った環境が作りやすいように思います。
支援の場にはどうしても支援者と合わずに、利用を中断してしまうケースがあります。人と人とのお付き合いなので、これは避けられないものです。
せっかく勇気を出して相談したのに良い関係を築けなかったとなれば、「続けて相談しよう」とはならないのは自然なことかと思います。では新たに別の場所へ相談に行くかといえば、そう簡単に割り切れるようなものでもなく、支援機関との距離が離れていってしまうのは残念なことだなと思います。
ぜひ知っていただきたいのは、支援者というのは他の業種や職種以上に多様であるということです。ひとりの支援者が合わなかったとしても、別の場所に行くとまったく違う印象を受けることも多いのではないかと思います。
それは、利用する側としては不便に感じられるところかもしれません。日本中で多くのサービスが均質に利用できるのに、実際に行ってみないとわからないことがあるのは、時代を考えると負担も大きいのは否定できません。
多くの支援プログラムでは説明会や初回相談を別途設けていますから、利用する前提ではなく、「話を聞いてみてダメなら乗り換える」くらいの気軽さでお越しいただけると良いなと思います。
あなたに合う支援プログラムや支援者はかならずどこかにいるはずです。最初の相談でうまくいかず、次に進めなくなってしまったというお話も少なからず聞きますが、ぜひ気を取り直して別のところにも挑戦してみていただけると嬉しいです。
認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか
認定特定非営利活動法人
育て上げネット 事務局次長
山﨑 梓
1990年生まれ。2010年から学生ボランティア団体で災害救援活動や地域貢献活動に参加。卒業後に育て上げネットに入職。ユースコーディネーターとして支援に関わりながら調査・研究を行い、広報担当マネージャーを経て、現在、事務局次長。行政・自治体の若年無業者向けの支援に関わる技術審査員等歴任。共著に『若年無業者白書2014-2015』(バリューブックス)


