若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー
232232
「孤独」と向き合う大学生の
演説を聞いて思うこと
山﨑 梓(やまざき・あずさ)
公開:
先日、大学時代にお世話になったNPOで大きなイベントがあり、子どもが生まれることもあって挨拶に行ってきました。10年以上も前のことですが、みなさんよく覚えていてくださって、温かい時間を過ごさせてもらいました。
このNPOは全国の大学生で構成されるボランティア組織で、毎年12月に来年度の運営のコアとなる学生を会員選挙で選出しています。信任を得た学生は、1年間それぞれの大学の管理やボランティア活動で要所を担うことになります。
選挙は立ち合い演説形式で、ひとりひとりの想いを聞くことができます。私も十数年前にした青い熱弁の記憶の懐かしさに更けながらも、学生の生の声に耳を傾けることにしました。私のときとは比べ物にならないほど、話の順番も丁寧でわかりやすい演説に感心しながら、端々に表れる彼らの抱えている「孤独感」に気持ちを揺さぶられました。
せっかくボランティア団体に所属しているのに、活動へ参加することにハードルを感じている低学年生が多くいる、この組織を通じたつながりをもっと作っていかなければいけない、という話を決して少ない人数でない候補者が話題に挙げていました。
生きづらさを抱える若者とどう出会い、どう関わっていくのかを日々考えている私たちと、まったくといえるほど同じことを考えている学生たち。大学に通い、ときには災害救援や海外活動に向かう若者たち。
休憩時間には横に座る同級生と笑い合い、緊張の3分を乗り越えた同志を温かく迎え入れているその姿とは対照的に、身近にある「孤独」と向き合っているのだと思うと、この世代の生きづらさは決して特殊なことではないのだと強く思わされます。
もちろん、演説の場にわざわざ顔を出すような学生は、きっと彼らのいう課題の直接的な対象ではなく、本当にどうにかしたいのはその場にいない誰かなのだろうと推察します。
目の前にいない人の視野に入りこませ、興味を持ってもらうのは果てしないエネルギーがいる、ということを私は知っています。それをみんなの前で宣言をした学生を私は応援したいと強く感じました。
「つながり」を作る組織にいるせいで、どこもかしこも「孤独」の話をしているように感じる日々なのか、これを読むみなさんもまたそう感じる節があるのか、そんなことも聞いてみたい大学生とのふれあいでした。
認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか
認定特定非営利活動法人
育て上げネット 広報担当マネージャー
山﨑 梓
1990年生まれ。2010年から学生ボランティア団体で災害救援活動や地域貢献活動に参加。卒業後に育て上げネットに入職。ユースコーディネーターとして支援に関わりながら調査・研究を担当。現在は広報・寄付担当マネージャー。行政・自治体の若年無業者向けの支援に関わる技術審査員等歴任。共著に『若年無業者白書2014-2015』(バリューブックス)





