そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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不登校35万、通信制生徒10%、
高校求人14倍⋯
現代学生をまつわる数字を見る

認定特定非営利活動法人 育て上げネット
山﨑 梓(やまざき・あずさ)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

2026年の最初の記事ということで朗らかなコラムをお見せしたいのですが、書いているのは師走の最中。どうにも穏やかな感情にはまだほど遠い状況であります。2025年を振り返ると、気になる数字が多く目に飛び込んできました。特に学生年代に関係するデータには、まじまじと追ってしまうものが多く、ひとつは大きな話題となった「不登校者数が35万人を超えた」という発表でした。

文部科学省も不登校をネガティブなものとした以上、これを社会課題として捉えるかどうかはイシューの設定に問題があるとも感じますが、学校に行きたいけれど行けないケースがあるからには、少なからず私たちにとっては無視できない数字です。

また、高校生年代にも大きな変化が起きつつあります。象徴的なのは、高校生の約10%が通信制高校に在籍しているというレポーティングが出ています。過去5年で1.5倍に急拡大した背景には前述した不登校経験もあるといわれています。一方で、多様化するキャリア形成には自由度の高い通信制高校が適していて、普通科・全日制高校ではフィットしないケースも増えてきているのでしょう。

そして、高校を卒業した先にある就職段階では、東京都の高卒求人の倍率が14倍に至ったという発表が出ています。工業系の生徒に絞ると20倍を超える状況です。空前の売り手市場に置かれた高卒人材の確保難度が急激に高まっています。近年の上昇傾向を踏まえると、しばらくこの傾向は続きそうです。

教育の領域も多様なニーズ(要求)に応えられように、新たな制度やチャレンジスクールをはじめとする枠組みが試行されていますが、社会の急激な変化に足並み合わせて変容することは苦手でもあります。その取りこぼしを、私たちのようなNPOが埋め合わせをしていかなければならないなと感じています。

私たちは若者支援という立場で学齢期世代の子どもたちと関わります。若者支援のコアターゲットは義務教育修了後の方々なので、卒業したあとの支援が中心ではあるのですが、最近は在校中からできることも少しずつ増えてきました。「切れ目のない支援」という言葉が業界では使われますが、卒業したあとに問題が起きると、簡単に頼れる先がなく、無縁状態が長期化するケースも少なくありませんので、学校にいるうちからいっしょにできることが増えていけばうれしいです。

2026年も子ども・若者たちにとって少しだけ良い社会となるよう、私たちも頑張っていきたいと思います。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか


認定特定非営利活動法人
育て上げネット 広報担当マネージャー
山﨑 梓
1990年生まれ。2010年から学生ボランティア団体で災害救援活動や地域貢献活動に参加。卒業後に育て上げネットに入職。ユースコーディネーターとして支援に関わりながら調査・研究を担当。現在は広報・寄付担当マネージャー。行政・自治体の若年無業者向けの支援に関わる技術審査員等歴任。共著に『若年無業者白書2014-2015』(バリューブックス)

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