そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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未来につながる小さな経験を

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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育て上げネットが本拠とする東京都立川市でも、他の地域と同じように不登校の児童・生徒数が増加しています。

2024年度では、不登校児童が265名、生徒が304名となっています。長期欠席をする児童・生徒にとって、学校に行くことができない理由はさまざまであり、登校することが解決や正解でもありません。

立川市には、給食の調理を配送をする学校給食東共同調理場「みんなのくるりんキッチン」があります。ここでは不登校の児童・生徒のための給食提供を行っています。2024年度中は試行的に週1回でしたが、2025年度からは給食のあるすべての日に実施しています。

開始年度の子どもたちの利用は延べ54名でしたが、2025年度はすでに延べ262名の利用があるということです。2025年11月21日現在で、124回の実施に対して、116回でひとり以上の参加があり、参加率は93.5%となっています。

利用者のなかには、学校に登校できるようになった児童や、高校に進学・通学できるようになった生徒もいますが、家の外に出ることや、家族以外のひとと交流する機会づくりを目的としているため、子どもたちにとっては安心して利用できるのだと思います。

不登校への対策は、少なからず登校をゴールにしてしまいがちですが、そこに目的をおかない取り組みはどのような想いで始まったのでしょうか。

実際に担当者に伺ったところ、「学校に行けなくても、給食という思い出は残してあげたい」という回答をいただきました。

大人になって、給食の話題になったとき、小中学校時代をマイナスにとらえることがないよう、みんなで楽しく語り合えるように、という未来に向けたやさしいまなざしが出発点でした。

給食の人気メニューは「カレー」や「あげぱん」だそうです。人気メニューがあれば、不人気なメニューもあるでしょう。また、地域性に応じたメニューもあるはずです。日常的に食べていた給食メニューが、他地域では「えっ!」ということもあります。

多様な地域から集まる大人たちの会話、その小さな小さな話題かもしれませんが、不登校時代を少しでもマイナスにしないことから出発したこの取り組みは、子どもたちの未来につながる経験を保障しています。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか


認定特定非営利活動法人
育て上げネット 広報担当マネージャー
山﨑 梓
1990年生まれ。2010年から学生ボランティア団体で災害救援活動や地域貢献活動に参加。卒業後に育て上げネットに入職。ユースコーディネーターとして支援に関わりながら調査・研究を担当。現在は広報・寄付担当マネージャー。行政・自治体の若年無業者向けの支援に関わる技術審査員等歴任。共著に『若年無業者白書2014-2015』(バリューブックス)

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