若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー
237237
新卒採用をする企業は約4割、
未内定卒業で困っている方へ
山﨑 梓(やまざき・あずさ)
公開:
高校・大学生の内定率のデータが今年も発表されています。私が見ているのは3月時点で発表されたデータなので、最終的な値はまだはっきりとしていないものの、過去最高レベルの高水準だった昨年に近い結果になりそうです。
売り手市場が依然として続いている一方で、私たちがよく見ておかなければならないのは、高水準の裏にあるそのなかで「うまくいかなかった若者たち」のことでしょう。
一昨年の結果でいえば大学生の内定率は98%でしたが、裏を返せば2%は就職を希望しているにもかかわらず内定に至らなかったということです。卒業生が1,000人いれば、20人は未内定卒業に至っているということになります。
支援機関にはそうした方も相談にいらっしゃいます。就職活動をしていたけれど結果が出なかった方ももちろんいますが、周りの雰囲気についていけず時流をつかめないまま4月を迎えるという方もいます。また、まずは卒業をするために卒論を書くのに必死でそれどころではなかったという方もいました。
理由はさまざまありますが、周囲が内定を決めていくなか、自分だけが置いていかれたような気持ちになって自信を失っている方が多いように思います。そういう方こそ、ぜひ支援プログラムにつながっていただきたいなと感じています。
近ごろの大学生の就活はかなり複雑になっています。企業側の人材確保の熱気が高まるほどに、学生もまた早く動き出し、就活を意識している時間も長く、増えています。そのなかで大学のレポートやサークル、アルバイト⋯⋯となれば全部をこなすことができなくても仕方がないように思います。
うまくいかなかった経験はどうしてもダメージになってしまうと思います。そうした経験をされた方に知ってほしいのは、大学就活は全体で見れば一部の企業とのめぐりあわせで、縁がつながらなかっただけということです。
帝国データバンクによれば、新卒採用を行っている企業はおよそ4割程度で、半分以上の会社は、あえて新卒を対象にした就活市場には参加していません。大学就活で出会うことのなかった会社のなかに、自分に合っている会社がある可能性は大いにあります。
新卒採用を積極的に行っていない会社は、なにも新卒を雇いたくないということではありません。実際、私たちが関わる中小企業はつねに若手の人材を探していて、経験不問で話を聞きたいという声はよく耳にします。インターネットを活用した採用市場は、どうしても広告費などさまざまなコストを払える会社に限られてきます。そうした場にあまり出てこなくても、若手の育成や将来をいっしょに考えようとしている会社は実際にあります。
未内定で卒業してしまって、この先どうしたらいいのだろうとお悩みの方は、ぜひ支援機関に話をしてみてください。オンラインでできる相談機関も最近は増えています。相談に行くと就活をしなければならないと思われる方も多いのですが、実際には相談員と話をして段階的に準備をしていく方がほとんどですから安心してください。日本中であなたを待っている支援機関がたくさんありますから、ぜひ勇気をだして相談してみてくださいね。
認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか
認定特定非営利活動法人
育て上げネット 広報担当マネージャー
山﨑 梓
1990年生まれ。2010年から学生ボランティア団体で災害救援活動や地域貢献活動に参加。卒業後に育て上げネットに入職。ユースコーディネーターとして支援に関わりながら調査・研究を担当。現在は広報・寄付担当マネージャー。行政・自治体の若年無業者向けの支援に関わる技術審査員等歴任。共著に『若年無業者白書2014-2015』(バリューブックス)





