そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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雑談力を活かす職員を見ていて
思ったこと

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 事務局次長
山﨑 梓(やまざき・あずさ)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
公開:

サッカー好きの多い職場なので、最近の雑談はワールドカップに占拠されています。私はプロレスへの興味のほうが強く、今年の真夏のシリーズがどうなっていくのか毎日SNSを追っているのですが、周りの誰ひとりとしてそんな話はしていません。同僚がそれぞれのサッカー考察論を持ち寄り喧々諤々としているのをみると、このコンテンツのすさまじいパワーを感じます。

10年ほど若者支援に関わらせてもらうなかで、大切な能力のひとつに「雑談力」があると感じています。

私が得意でないから余計にそう感じるのかもしれませんが、仮にカウンセリングなどの専門的なスキルを体系的に学んでいなかったとしても、雑談力が高ければ別の切り口から若者の心を開くことができる。そんなケースをちらほら見かけます。

支援現場にいると、会話の最初のきっかけを持っていない方が多い印象をもちます。話し始めてしまえば返事や笑い声も聞こえてくるのですが、最初の切り出しに苦戦している方も多いようです。その点、雑談力が高い職員を見ていると、とりあえず場に話題を提供します。

もちろん、話すことは何でもいいということではないのですが、今の時期ならワールドカップは便利な話題です。たくさん見ている若者なら話を引き出しやすく、全然見ていなかったとしても、代わりにどんなことを最近しているのか⋯と、話の展開があります。

雑談力に長けた職員を観察していると、なんだかんだとずっと話しています。若者の半数近くがコミュニケーションに苦手意識を持っていると言われている中で、話す内容が直接的な支援につながるものでなかったとしても、自分のことを表現する練習がたくさんできるのはとても良いことです。

最近はどのコンテンツにおいても、広く誰しもに手を取ってもらうより、興味を持ってくれた人がどんどんと深くはまっていけるような形のコミュニケーションが増えています。そのため「誰にでも当てはまるもの」というのが減ってきていますが、それはそれで臆さず相手に話題を振ることが大事なようです。

当然、聞かれても全然知らない話題もたくさんありますが、他の人が熱弁している話を聞いたりできれば、それも彼ら・彼女らにとって大切なトレーニングになります。

また副産物的に、職員のことをよく理解してもらえる側面もあります。信頼関係を作っていくためには多少の情報開示があったほうがスムーズになりやすいのですが、この職員は何が好きなのか、人となりが見えると話もしやすくなっていき、支援を受ける若者側から話しかけるネタにもなります。

お昼ご飯を食べながら若者に話題を提供し続ける職員を横目に見ながら、そのすごさをつい語ってみたくなりました。ぜひ、みなさんにもこの雑談力、味わってみていただきたいものです。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか


認定特定非営利活動法人
育て上げネット 事務局次長
山﨑 梓
1990年生まれ。2010年から学生ボランティア団体で災害救援活動や地域貢献活動に参加。卒業後に育て上げネットに入職。ユースコーディネーターとして支援に関わりながら調査・研究を行い、広報担当マネージャーを経て、現在、事務局次長。行政・自治体の若年無業者向けの支援に関わる技術審査員等歴任。共著に『若年無業者白書2014-2015』(バリューブックス)

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