そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

102-1

102-1
応援されること
~勇気をもって伝える~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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先月、第七回大阪マラソンのチャリティランナーとして42.195kmを走ってきました。私は、自分のフルマラソンへのチャレンジに応援してくれるひとに、「若者、子どもたちを支えるため寄付で応援してほしい」と伝えています。私にお金は入りません。それでも多くのひとが「がんばれよ」と寄付をしてくれました。

大阪マラソンは、本当にたくさんのひとが沿道から声援を送ってくれます。私のゼッケンには名前が記載してあるので、「工藤さん、がんばれ!」という声がかかります。家族や友人ではなく、まったく知らない方から応援されるというのはなかなか経験できるものではありません。プロスポーツ選手やオリンピック代表選手でもありませんので。

応援されることは、自分がそこにいていい、自分の行動を評価・承認されている気持ちになります。応援がなくてもやると決めたことはやりますが、やると決めたことを応援してもらえると、少なくない力となります。想像以上です。

部活でも、受験でも、何か学校外で頑張っていることでも、他人はみなさんの「がんばり」を知ることがなかなかできません。何を目指しているのか、なぜそこまではまっているのか。それは社会を変える!みたいな大きなことでも、ちょっとした楽しみのためでも同じです。もし、いまがんばっていることをよりよくするためには、勇気をもって周囲に伝えてみてはどうでしょうか。

気恥ずかしさもあるでしょうし、わざわざ応援してもらう必要もない、と思うかもしれません。誰にでも伝えようというわけではありません。ただ、誰かの頑張りを応援したいひとはたくさんいて、それは必ずしも知り合いであるとは限りません。

もう一度言いますが、何かを成し遂げようとするとき、応援されることは想像以上に力になりますし、ゴール達成に近づきやすくなります。それは苦言や批判につながることもあるでしょうが、そんなものは無視しましょう。伝えるときから「どうせネガティブな反応するひとはいるよね」と思っていればダメージも想定内になります。

年齢を重ねると、面と向かって応援されることも少なくなってきます。だからと言って、応援者がいないわけではありません。応援をすること、応援したいこと、に出会うことが減るからです。一回りして、それは“伝える”ができるひとが減るからなのかもしれません。だからこそ、勇気をもって伝えるひとが、その勇気を含めて応援されるのかもしれませんね。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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