そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

105-2

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高校生にやさしい社会
~高校生を応援したい大人はいる~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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最近は、高校生も自らの想いを発信することでたくさんの応援を受けています。ひとつの例として「polca(ポルカ)」というアプリがあります。ポルカのサイトにはこう書いてあります。

「身近な友だち同士ではじめる、フレンドファンディングアプリ。やりたい事を思いついたら、企画をたて、必要な金額を友だち同士で集めることができます。
※フレンドファンディングとは、友だち(friend)と、資金調達(funding)を合わせた造語です。」
(引用:「polca(ポルカ)」サイトより)

なんだか怪しそうなアプリですが、私の場合はこれを作った会社に友人がいたので、それほど抵抗なく始めてみることができました。実際、思いつきのやりたいことを掲げて「本当に応援してくれるひとはいるのかな」と思いました。

実際に三回やってみたのですが、応援をいただいたものもあれば、いただけなかったものもあります。いまは「ミニ四駆サーキット レンタルサービスを利用して、本格的なコースで長男にパパの本気をみせつけたい!」という企画を立てています。普通に考えたら、「それは自分のお金でやればいいじゃないか」と言われるかもしれませんが、いまは7名の方から企画の応援をいただいています。なぜ応援してもらえるのか不思議ではありますが、こんな企画であっても面白がってくれるひとが世の中に存在するということだけで心が温かくなります。

先日、twitterで定時制高校に通う女性の企画を見ました。「定時制高校JK、声優の養成所に通って力を試したい!」。そこにはアルバイトを掛け持ちして養成所に通うお金を貯めているけれども、自宅にお金を入れたり、食費を自分で賄わないといけないということが書いてあります。養成所は年間で250,000円かかるそうなのですが、その一部の50,000円を応援してくれるひとを募っていました。

私はこの女性を知りませんし、本当に女子高校生なのか、ここに書かれていることは本当なのかは知る由もありません。しかし、友人が直接的な知り合いだということがわかり、ささやかですが応援させてもらいました。

彼女の企画は37名の応援で目標金額に達しています。高校生にとって学業の時間を削り、アルバイトで50,000円を貯めるのは非常に大変なことでしょう。自らの夢を言葉に、夢をかなえるための資金の一部を募るには勇気も必要だったと思います。集まらなければ後悔するだけというリスクもあったでしょう。ただ、結果として彼女の言葉に共感し、彼女が未来を切り開く一助に手を挙げたひとがたくさんいたのは事実です。

私はひとを信じやすいだけかもしれませんが、高校生の想いに対して手を差し伸べるひとたちがいるということに、この社会も捨てたものじゃないなと思うのです。

※polcaは未成年でも利用できますが、保護者等の同意が必要です。また、企画を公開すると修正や変更をすることができません。例に出したpolcaのようなアプリはたくさんあり、それぞれに利用規約などがあります。規約やルールをよく読み、よく考えてから登録をするようにしてください。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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