そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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連載にあたって

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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ここ数年、何かと若者がクローズアップされるようになりました。若者についての書籍もたくさん出版されています。社会全体が若者を理解しようと躍起になっているようにすら見えます。しかし、若者は若者であって、いつの時代にも大人には理解できない存在であるように思うのです。「最近の若者は・・・」とひとまとめに括るのは少々乱暴かと思いますが、たくさんの名称をつけ、細分化に細分化を重ねても、かえって若者を理解することが難しくなってしまうのではないでしょうか。

私は、若者の自立を支援するNPOを生業にしています。目の前にいる若者を定義にあてはめれば、ニートであったり、フリーターであったりしますし、○○型といった類型化も可能です。確かに、A君は○△□なタイプだからこういう形で支援していこう、とザックリわけてしまうこともあります。

しかし、若者は外部の刺激を受けて成長します。実際の支援現場において、初日に決めた支援方法が翌日にはまったく別の方法に変わっていることはザラにあります。時に、ザックリとした類型化も必要ですが、大人の側も若者の成長に合わせた柔軟な視点や思考を持っていなければならないのです。おそらく、若者の変化についていけなくなったとき、「最近の若者は…」と言ってしまうのでしょう。保護者でも、教師でも、上司でも、どの立場においても共通することなのではないでしょうか。

この連載で、私は“ワカモノ”について書かせていただくことになりました。いまのワカモノは高度情報社会の到来とグローバル化のなかで育っているため、そうではない人間には理解できないと思われがちです。これが事実である側面もありますが、一方、高校生や大学生、ニートやフリーターと関わってみると、案外、“そこらへんのワカモノ”だと感じることもあります。

この“そこらへん”がどこらへんなのかはよくわかりませんが、たぶん、「自分も同じようなことしていた」とか、「その頃にはそういうこと、考えていたよな」と思える、懐かしさを感じるような部分ではないかと思います。時代が移り変わり、育った環境が違っても、ワカモノであるからこその変わらないモノがあります。この連載を通じて、わからないワカモノではなく、変わらないワカモノの姿をお伝えできればと考えています。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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