そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

15-2

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学校生活
~学校ありきでない高校生~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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学校ありきでない学生は「脱学校」のタイプです。前回の流れで言えば、学校が必ずしも日常とは限らない学生です。高校の先生からお話を伺うと、この「脱学校」タイプの学生が非常に増えていると感じます。

最近では、アルバイトをする高校生がかなり多く、その目的は自分の小遣いは自分の力で得ることであり、主に携帯電話の料金を支払うためだそうです。高校生の大半は携帯電話を持っていますから、貰った小遣いで足りなければ、その分の補填としてアルバイトをすることもあるでしょう。携帯電話は彼ら/彼女らにとって非常に重要なツールですから、これは時代の流れだと理解できます。

高校生活を考えると、土日・祝日を除き、概ね17時から22時の間でアルバイトをします。業種は小売や販売など接客業が多いようです。しかし、先生方が心配しているのはアルバイトをすることではありません。当然、賃金をいただくために一所懸命、仕事をするわけですから疲れます。自宅に戻り、食事や入浴があり、就寝するのは0時頃でしょうか。生活時間帯は大人と変わらないわけですから、少しずつ疲れが溜まってきます。朝、起きづらくなってきます。

そのとき、「脱学校」タイプの学生は、「昨日のアルバイトで疲れている。今日もアルバイトがある。だから、学校は休む」と、学校生活が第一優先とはならなくなってきます。確かに、アルバイトはシフト制で責任が生じます。お金も貰える。そこにはさまざまな年代がいて、学校も地域も異なる仲間がいます。いつも同じメンバーの学校よりも刺激が強く、楽しく感じるかもしれません。すると、いつの間にか、学校は通学するかどうかを自分の中で選択する場所となり、「向学校」「反学校」の学生とは違う価値観で学校を考えるようになります。

最近、このように「学校ありきでない高校生」がとても増えています。そして、中途退学する若者のある部分は、「脱学校」タイプの学生となっているのです。学校に対する学生の価値観が変化し、学校側としても何らかの対応をしなければならなくなっています。

各家庭の所得事情や、若者を消費者としてサービスを提供する社会状況を見れば、アルバイトは原則禁止、だけでは何も解決しないことがわかります。いまの時代を踏まえ、さまざまな価値観、家庭背景などを持つ若者に対して、学校や社会、大人の一人ひとりが何をどうしていくべきなのかを考える岐路に差し掛かっているのかもしれません。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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