そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

33-1

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地域の力で自己成長
~前編~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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最近の若者が求めるのは「自己成長」です。実際、多くの若者が「自己成長」したいと言います。具体的に何ができるようになりたいのか、どこを伸ばしたいのかというよりも、「自己成長」を期待して物事に取り組み、「自己成長」を実感したいというのが本音です。その際、自分自身で成長したのかどうかを評価するのは難しいですから、しっかりとフィードバックしてあげられるひとの存在も重要です。

若者の地域離れが著しいという話はよく聞きます。地域の寄り合い、イベントなどに参加する若者がどんどん少なくなる、と地域のひとたちは嘆きます。その際には、「若者の意識が変わった」という声も出てきます。

もしかしたら、地域活動が彼ら/彼女らの「自己成長」につながるとしたら、つなげるような仕掛けができれば、若者は地域に関わるのではないか。私はそう考えました。地域というのは不思議なもので、一度、密接に関われば愛着が湧きます。一方、最初のとっかかりをつくるのに膨大な労力を必要とします。

昨年度、地元自治体と協働し、若者の力で地域の個別課題を解決するプログラムを実施しました。チラシとネットで人材募集したところ、大学生、フリーター、無業の若者などが手を挙げ、延べ649名が地域課題の克服に汗と知恵を出し合いました。

正直、参加者ゼロという笑えない結果も覚悟していましたが、ふたを開けてみればたくさんの若者からエントリーがありました。高校生もいました。なぜ参加しようと思ったのか。地域から離れる世代が戻ってきた理由は何か。答えはとても単純で、「地域が好き」「街づくりに関わってみたかった」「楽しそう」というもので、やはり、自己の成長を求める若者もいました。

私が感じたのは、「なんだ、みんなしっかり地域に関心を持っているじゃないか」というものです。地域に対する若者の意識が大きく変わったなどということはなく、地域や大人が、若者と地域の関わりをつくれていないという地域課題が明確になった事業でした。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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