若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー
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30年後の未来
~暮らしの変化~
工藤 啓(くどう・けい)
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2011年、日本人の平均年齢は45歳です。平均寿命が男性で80歳、女性が85歳ですので、何となく45歳は真ん中くらいな感じがします。それが、いまから30数年後の2050年には平均年齢が52歳になります。いまの高校生がまさに平均年齢になります。
若いひとが集まりやすい都市部では「若いひとがいっぱいいる」ところを見られるかもしれませんが、若いひとが少ない地域では、それこそ右を見ても、左を見ても、60歳とか70歳のひとばかりかもしれません。
昔は、祖父母と父母、子どもたちが同じ家に住む三世代同居だったのが、いまは祖父母と一緒に住むひとは減り、父母と子どもという核家族が増え、また、ひとりで暮らしているひとも増えていますので、私たちの暮らし方もかなり変わってきました。これから30年後はどのような家族(ひとりを含む)形態になっていくのでしょうか。
例えば、最近では「シェアハウス」といった、ひとつ屋根の下に複数のひとが暮らす形も“よく聞く”言葉になってきました。もしかすると、決まった自宅は持たないで複数の家を持ち、その日の気分によって寝る場所を変えることが当たり前の時代になることすら考えられます。
30年前に高校生だったいまの50代は、例えば、誰もがインターネットにアクセスできて、スマートフォンで友達とつながったり、簡単に情報を得られる時代になるなんて想像もできなかったでしょう。それでも、未来は変化していくことを常に意識していたひとと、そうでないひとでは、変化後のいまの暮らし方、生き方が全然違うのではないでしょうか。
遥か遠い未来に想像力を膨らませ、いま何を感じ、考え、行動していくのか。変化の激しい時代であるからこそ、変化に無関心であったり、変化を恐れるのではなく、変化を楽しみ、期待していく気持ちでいたいものです。
認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか