そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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30年後の未来
~仕事の変化~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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いまから30年前、携帯電話やインターネットはもちろん、FAXすら当たり前のものではありませんでした。お店でものを買うときも、バーコードで「ピッ」とやれば値段が表示されるわけでもなく、スーパーの店員さんはものすごい速さで、商品の値段をレジに手打ちしていました。

私が高校生だった20年前でも、周囲が使っているのはポケットベルでした。家の電話や公衆電話を使って、友人のポケベルに電話をかけ、数字を入力して会話をしていました。初期は「0833(おやすみ)」「0906(おくれる)」「10105(いまどこ)」とポケベルの画面に表示される数字を解読して意味を理解していました。しばらくして、番号を打つと相手のポケベルに文字が表示されるようになりましたが。それからPHSや携帯電話が登場し、インターネットが普及し、自分の生活も仕事のあり方も激変したわけです。

たかだか20年、30年でたくさんの職業がなくなったり、変化をしています。そんな30年後を想像してみると、いま思っている仕事はすでになくなってしまうことも考えられます。その一方で、例えば、荷物を運ぶことは変化しても、なくならないかもしれません。瞬間移動装置ができれば別ですが、その可能性がないとも限りません。

少し前は、家やマンション、ビルを建てることはなくならないのではないかと思っていましたが、立体的なものを造れる3Dプリンターが実用化され、建設にひとの手はほとんどいらなくなりそうな気配です。

スポーツの世界でも、30年前は日本にプロサッカーリーグはありませんでしたが、20年前にJリーグが創設され、いまや香川選手や本田選手、長友選手など有名クラブで活躍する選手が出てきています。また、プロ野球選手がメジャーリーグでこんなにもプレーすることは想像すらできなかったかもしれません。この30年間でこれまでプロ選手、プロチームが存在しなかった分野のスポーツもどんどん変わってきています。

いまと未来はつながっています。

30年後はとても遠い未来の話かもしれません。いまは想像もできない仕事が生まれるでしょうし、自分が創り出すこともできます。数十年後の自分を考えることも大切ですが、ずっと先の仕事や社会がどう変化していくのかについても想像力をはたらかせてみてはいかがでしょうか。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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