若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー
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寄付を通じて社会を知る
~お金を出さない寄付~
工藤 啓(くどう・けい)
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前回は、お年玉やお小遣いなど、社会を知り、未来を創るために持っているお金の一部を寄付してみてはどうだろうかという話を書きました。もちろん、自身の生活に負担のない金額でよいわけですが、そのような余裕がないひとも大勢います。
しかし、お金を投じることだけが寄付ではありません。いまは本当に多様な寄付につながる仕組みができています。例えば、株式会社ディ・エフ・エフが運営する sumabo(スマボ)では、登録されている団体のためにワンクリックすると1円が寄付されます。
400以上の団体が登録する gooddo(グッドゥ)では、ワンクリックで10ポイントから1,000ポイントとなり、ポイントに応じた寄付が団体に入ります。
大掃除や部屋の片づけをするときに、書籍や漫画、DVDやゲームを処分することもあるかと思いますが、株式会社バリューブックスが運営するチャリボン(charibon)では、NPOやNGO、大学や自治体など100団体が登録をしており、電話一本で宅配業者が指定の日時に無料(5冊以上から)で取りに来てくれます。その書籍などの買い取り代金が、指定した団体に寄付されるという仕組みです。すでに600万冊、累計1億円を大きく超える寄付金額となっています。
その他にも、貯まってはいるけれど活用していないポイントやマイレージなども、いまは寄付に使うことができます。「寄付」と「ポイント」などで検索をすると、いろいろなサイトが出てきます。
大切なのは寄付をすること以上に、各サイトで登録されている団体が、あなたの寄付をどのような社会課題の解決のために使っているのかを知ること。その活動を応援したいと思えることです。お財布から大切なお金を寄付に使うことができなくても、行動ひとつで社会の問題解決に寄与することができる時代です。
私たちの暮らしをよりよくしていく、私たちの社会をいまよりも前進させていくのは、年齢ではなく、ちょっとした勇気と行動の積み上げです。ぜひ、一緒に未来をよいものにしていきましょう。
認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか