そこらへんのワカモノ

若年者就労支援などの活動を行う、認定NPO法人「育て上げネット」理事長の工藤啓氏とスタッフによるエッセー

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自治会活動
~地元自治会の班長になってわかったこと~

認定特定非営利活動法人 育て上げネット 理事長
工藤 啓(くどう・けい)
※組織名称、施策、役職名などは掲載当時のものです
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いまの地域に住み始めて四年が経ちました。引っ越ししてからずっと自治会には加入していましたが、遂に四月から「班長」として十数の世帯を管轄する「班長」になってしまいました。

「なってしまった」というのは、住民の自主的な組織なので会長でも班長でもやりたいひとが率先してやっていけばいいことですし、やりたいひとがいない場合は話し合いを通じてその役割を担うひとを選出するのが自主的な組織だと思うからです。

しかし、私が担うことになった「班長」は持ち回り制になっており、遅かれ早かれ誰もが順番にやらなければならないルールになっています。その地域には地域のやり方があると考え、引き受けました。引き受けないという選択肢はないのですけれど。

今年度の班長と次年度四月から班長になるひとが集まり、引き継ぎを行う会合がありました。会場は満員で、自治会役員はかなり年配の方ですが、班長は30代から60代くらいまでと幅広く、私の子どもが通う保育園で知り合った知人もいました。

そこで初めて気がついたのは、小さい頃、楽しみにしていた地元のお祭りや運動会「火の用心、マッチ一本火事の元」でおなじみ歳末パトロールなどは、この自治会(町内会という名称のところもあるようです)が関わり、そこに集う大人たちによって作られていたということです。

他にも、一人暮らしの高齢者や障がい者の見守りも自治会の役割です。日本語がうまくできない外国人または外国にルーツがある家庭が孤立しないよう、積極的にコミュニケーションを取っているのも自治会の仕事だと言います。

正直、「班長なんて面倒だな」くらいにしか思っていなかったのですが、改めて自治会という組織が担っている地域機能を考えると、自分自身が小さい頃から多くの経験をし、大人たちに見守られているような「空気」や「雰囲気」は、本当に一人ひとりの大人が忙しい時間を削り出し、地域のために活動することで成立していたものであることを知りました。

私自身は、中学生くらいから地域の活動に参加するわけでもなく、ましてや高校生、大学生になると「地元」を意識することもなくなり、たまたま実家がある地域を「地元」と呼ぶひとがいるくらいにしか考えませんでした。しかし、自治会のみならず、地域の自主組織に深くかかわることになって初めてわかったことがあります。

それは、いざというとき自治会活動にまったく参加してないひとは何事も不利になりやすい。フリーライドは許されない構造ができているということです。

認定特定非営利活動法人
育て上げネット 理事長
工藤 啓
1977年東京生まれ。2001年、若年就労支援団体「育て上げネット」設立。2004年5月NPO法人化。内閣府「パーソナルサポートサービス検討委員会」委員、文部科学省「中央教育審議会生涯学習分科会」委員、埼玉県「ニート対策検討委員会」委員、東京都「東京都生涯学習審議会」委員等歴任。著書『大卒だって無職になる』(エンターブレイン)、『ニート支援マニュアル』(PHP研究所)、『NPOで働く-社会の課題を解決する仕事』(東洋経済新報社)ほか

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